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惑星ムンド管理官、転生者を監視する。  作者: 山田村
第三章 進展

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第26話 イベリア歴623年 増築

  



バレリアが人間の仲間を増やした。夫婦設定でナバラ王国北部から来たヘルマンとクララだ。名目は農地管理の責任者として赴任するが、実際は昼に農地、夜は鉱山で活動する。約三年ノンストップで動けるらしい。近くに人がいない時は自動マシンで作業し、効率を上げるという。


 住居の場所は、都と東の山村の中間から都寄りに位置し、道から一キロ奥にある。畑を作るためにマシンで全体を整地し、岩や石を取り除き、その石を宅地や道路に利用した。正確に真っ直ぐな道が山の方へ続いている。道路の見た目は砂利道だが、加工された特殊な道だ。


 家の隣には小屋があり、見た目はボイラー室のように偽装されている。そこには各家に暖房と温水を供給する機械が設置され、下水道の処理室も別に用意されていた。……自宅にも欲しいくらいだ。バレリアに聞いてみよう。


「東の家のシステム、この家でも出来る?」と唐突に聞いてみた。


「ハイ、出来ます。風呂とトイレに各種機材を設置すれば裏の敷地を使わなくても済みます。工期は五日です。人間を使うと穴掘りに時間が掛かりますから、約一ヶ月掛かります。」


「……人を使おう。お金を回して、この地区を潤わせないと!アントニオに手配してもらう。」


 その日、イバンに改装の件を話して了解をもらい、アントニオに連絡を取った。


 ぞろぞろと工事関係の作業員が現れ、いかにも親方に見える人物に声をかけた。

「よろしくお願いします。」

すると慌てて、

「俺、違うから……向こう。」と指をさした。


「いやー、すいません。改めて、よろしくお願いします。」

その女性は笑って、

「いや、毎度のことなんで。責任者のソニアだ、よろしく。」


 紙に書いた簡単な図面を見て「へえ、分かりやすい図面だ」と感心していた。機器の設置に関しては機密なので、彼らは穴掘りと小屋の基礎工事だけを担当し、石と木を使って小屋を建てることになった。次の日から、石を砕く音が響き渡り、汗の匂いが漂った。


 十日で穴と基礎が完成。三日後、ソニアが小屋を建てるため、我々は機器の設置を二日で終え、作業を引き継いでもらった。簡単な小屋だから十五日で完成し、引き渡しとなる。


 作業中、休憩時間にお茶やお菓子を出す家は少なく、ソニアは「こんな現場は父から受け継いで以来初めてだ」と言っていた。それにイバンのことも知っていて、「細かい所はやるのか?」と聞いてきたので、「そうだ」と答えておいた。実際はユニットを設置するだけなので、技術はほとんど使わない。


 私たちは小屋の内装に取りかかった。といってもユニットをパーツごとに組み立てるだけだ。イレーネでも持ち運べるパーツを小屋に移動させ、バレリアが組み立てる。風呂は一時間、トイレは三十分、暖房関係は一時間で完成した。


 イバンが帰宅する前に完成し、さっそく試運転だ。その前にイレーネを呼び出し、バレリアにオマジナイ(機密漏洩防止)をかけてもらった。これで外には漏れないだろう。


 イレーネを風呂に連れ込み、裸にしてランドリーに服を入れ、使い方を説明して、私も一緒に風呂に入った。「ああ、何年ぶりだろう……忘れてた」と思いながら、風呂から出て髪を乾かし、乾燥した服を着て、喉を潤しながらまったりと時間を潰し、イバンの帰りを待った。


 イバンが帰って来たので、風呂に連れ込み説明をしながら一緒に入り、彼の体を洗っていたら急に興奮してしまい、湯気の中で心も体も溶け合うように寄り添って、そのまま愛し合ってしまった。風呂上がりにイレーネが真っ赤になって股間を押さえていたので、「ああ、興奮してたな」と目で見たら、イバンも気づいたらしく、彼も興奮しているようだった。


 三十分後、二人は風呂から出て、気まずそうに私を見た。私は笑って、

「食事しよう!……座って!」

ニタッといやらしく笑った。


 そんな三人をバレリアは平然と監視カメラのように無言で観察していた。「イレーネ、今日はそっとしてあげる」と頭の中の妄想劇場が放映されていた。それに安全のため、風呂やトイレは監視され映像が保存されている。私は全然恥ずかしくないし、平気だ。


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