第18話 イベリア歴623年 バレリア
目的地に到着した。近くに偽装したステルスみたいな揺らぎがあり、そこに向かった。
ハッチが開き、全裸のアンドロイドが堂々と姿を現した。
私は思わずため息をついた。やっぱり……アンドロイドは服を着る習慣がないのだ。
基本メタルだから、これを着るように指示したか戸惑っていたので、着せてやり、靴をはかせた。人間社会に溶け込むには、まず見た目からだ。
地元民と見分けがつかないように偽装する。あかりちゃん第八世代、機体番号GFD-8054-JKI7402だと名前が長い。
「おい、あかりちゃん第八世代、機体番号GFD-8054-JKI7402、人間に呼ばれる時、仮名はあるか?」
「ハイ、あります。私はゆかりと名乗っています。」
「この世界で偽装するなら、別名に方がいいな。」
「それでは、地域になじむ名前をお願いします。」
「うん、……バレリアにしよう。強いという意味だ。」
「バレリア……了解しました。それと依頼された防具と武器です。」
「ありがとう。助かったよ。生身では危険な所だからね。これは、チョーカーの防具か。使い方は以前と同じか?これは、短剣タイプのSD銃か?」
「115XX年タイプより進化しています。今は自動展開になります。意識的にオフに限り常にカードされています。身体強化も付けています。剣型SDは現地偽装用に改造しました。近から長距離対応です。構えてイメージすると目の前にターゲットの映像が現れ、撃つイメージで一ミリから一メートルの範囲で物質を崩壊させます。防具とリンクしていて映像は防具からの映像になります。」
「これって軍仕様か?こんな高級な物、いいのか?」
「支給品に関しては決定事項で、我々を理解する現地協力者の命の保全は母船のマザーからの命令事項です。上空から常に見守っています。これよりマザーと回線を切り替えます。10秒お待ちください……
はじめまして、私は宇宙要塞大和のマザー・さくらと申します。これよりバレリアを通して、惑星の調査協力よろしくお願い致します。見返りに一つは身体の安全を保守します。我々のできる限り全力で守ります。二つ目は物資の援助です。これはこの世界のバランスを崩さない範囲になります。三つ目は情報です。我々が知り得た全ての提供です。以上になります。今後ともよろしくお願いいたします……」
「復帰しました。ではこれからの指示をお願いします。」
「まずは自宅に帰ることだ。」
「わかりました。私の背中に乗って下さい。一分で到着します。」
「待って、高速移動したら目立つでしょう。それから、自宅で留守番している者もいるし、話しながら、10時頃までに着けばいいから。」
「了解しました。」
「まずはバレリアの設定だ。グラナダ王国の容姿に似ているから、仕事は吟遊詩人かな?グラナダの吟遊詩人……ムー、無理あるなー。冒険者で水浴びしてて装備を取られ困っているところを、私が助けた。設定でこんな感じかな、どう思う?」
「吟遊詩人も冒険者でも、どちらでも演じられますが、吟遊詩人は地元の歌と踊りデータが足りません。南部に情報収集したら可能ですが三日はかかります。冒険者の方が、ごまかしがききます。」
「わかった。ではグラナダ王国から来た冒険者のバレリア、よろしく。」と言って握手した。




