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始まりの物語
とある魔法世界。
地下街にて・・・
「おいっ!早くしろ!」
大声を張り上げる十代後半とおぼしき少年。
「わかってるって!」
同年代と思われる少女が応じる。
ここは地下迷宮。魔法を使えない者が捨てられる無法地帯だ。
二人は走る。まるで何かから逃げるかの如く。
「ったく・・・まるで、どこぞのB級ホラーかよ・・・はぁはぁ」
「でも逃げられたんだから良いじゃない。もう御免こうむりたいけれど」
怪物に襲われていたらしい。
地下迷宮といえば怪物・・・ご定番だ。
早々、怪物に出会うことも少なくなってきているとはいえ危険だ。
「それで今度はどうするつもりなのよ」
少女は問う。
「さぁね・・・しばらく探検してお宝でもかっさらおうかね」
少年が応じた。
未開拓の土地はいくらでもある。そこを探検するにもデメリットのほうが多い。
それでも冒険を試みるものは後を絶たない。
うまくいけば自分の所有権を主張できるからだ。
また功績などで名前を上げようとする輩もいる。それで幾多の命が散っていった。
まだまだ冒険は続く。
二人の旅路は始まったばかりだ。