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授業中、メールはやめましょう

作者: ネルネルネ

なんだこの二人。

そう思って書いていた。

授業というものは、どうしてこうも眠くなる構造なのか。

講師の熱弁は、僕のまぶたを麻痺させる呪詛の如く。

春先のポカポカした暖気に加えて、程よい日差しも僕の眠気を誘う。

いつでも赤点スレスレの僕とは違い、勉強のできる生徒というのはこういう時でも、こういう時でなくても真剣に耳を立てて授業を聞いている。

おそらく、心構えの問題ではないはずだ。僕だって、勉強したいという意気込みはある。だが、それだけではどうしようもないというのは自明の理だ。

この世で永遠に問われ続ける、生まれの問題か。

はたまた、もっと根本的なものか。

どちらにせよ。彼ら勝ち組と、僕のような負け組みではどうしようもない壁があるのだと、こういう時に思い知らされる。

そして、波の様に襲ってくる眠気に流されそうになったとき。

「ん?」

ポケットに入れていた携帯電話が震えた。

マナーモードにしたままだったため、先生には聞こえなかったようだ。

メール画面を見る。

『寝るな。赤点になるぞ』

と、書かれていた。

メールの送信者は同じ教室の友達だ。お節介な女の子で、なぜこんなメールをしてまで気にかけてくるのかわからない。

先生が黒板に板書しているのを期に、隣の列の後ろ三つ目の席の彼女に目を向ける。

「…………」

なんていうか。あれだ。ツッコミどころ満載。

右手でケータイピコピコ。左で髪の毛いじりいじり。耳にはちゃっかりイヤホンまで。教科書なんて彼女の周り一メートル以内には見えない。

『こっち見んな』

僕が後ろを向いてすぐ、メールが届く。どれだけ準備良いんだ。

『勉強してない奴に注意されるほど不真面目じゃないぞ、僕は』

という文面のメールを送る。

それを受け取ったのか、しかめっ面になり、ケータイを両手に持ち替えて物凄いスピードでボタンを押し始めた。

ブブブ、再びバイブレーション。僕がメールを送って30秒も経ってない。

それでも、

『あんたと違って私は家でちゃんと勉強してるから聞いてなくても高得点取れるのよ。いつでも私が平均を軽く上まってるの知ってるでしょ? それともあんたはそんなことも覚えられないほど脳が劣ってるの? そうよね。私の誕生日の一週間前にちゃんと言ってたのに、忘れるぐらいだもんね。そんなあんたがこの私と同じ学校に通ってるだけでも奇跡だけど、あんたの脳構造も奇跡的よね』

……長いな。たった数秒の間にこれだけ文字を打てるなんて、あいつどれだけ手先器用なんだ。それに、あいつの文面を打つスピードに追いつけるあのケータイもスゲエ。

去年、あいつと知り合ってから4ヶ月後の、彼女の誕生日。僕はそれを完全に忘れていて、以来、彼女は何かとそれを引き合いに出してくるようになった。なかなか執念深い。

仲が悪くなったわけじゃないが、大人しい性格だと思っていた彼女の豹変振りに舌を巻いた。

誕生日以来、基本タメ口。僕限定で殴る蹴るの暴行行為あり。

そんなに怒るような事なんだろうか、誕生日を忘れたこと。

後できちんと祝ったし、謝ったのに。

まあ、僕は男だから、女の子の考えなんてわからない。

もしかしたら、僕の個人的判断で終わらせて良いことではなかったのかも。

今でも執念深く……もとい、忘れずにいるということはそういうことなのだろう。

よし、っと。気合を入れて聞き出してみる。

『誕生日忘れてたこと、そんなに傷ついたの?』

メールを送信。

すぐに返信がきた。

『当たり前でしょ! あんた完全に忘れてて、傷つかないと思う!?』

『でも、他の人には祝ってもらったんでしょ? 別に僕が忘れてたからって、そこまで怒らなくたって』

『そもそも、あんたが忘れてるのが悪いんでしょ!?』

『別に、僕に祝ってもらったってうれしくないでしょ』

『そんなわけないじゃない! どれだけ私が楽しみにしてたか』

『? どうして楽しみにしてたの』

『わかんない?』

『…………わかんない』

『………………あそ』

まずい、何か地雷を踏んだらしい。どうしよう。

と、あたふたしていたのだが。

『ばーーか(笑)』

最後に送られてきたメールの後、彼女の方を向くと、アッカンベーされてた。



次あたり、SFの連載をしてみようと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いろいろいい~^^ [気になる点] なし [一言] 彼らの話の続きを書いてください^^
[良い点] めっちゃおもろい! 続きがあったら見たい! というかつくって! [気になる点] ? 悪いとこあるなら感想書かないとおもうけど? [一言] おもしろ~~~い! 続きかいて~~^^
[一言] 確かに何だこの二人って感じですね。 ってこれだけじゃ感想にならないので、文章は読みやすいように思えました。
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