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第72話「久しぶりにね、気分がいいのよ」

 いやいや、ちょっと待てよ。

 ゴッド・オブ・ブレイビアの専用防御結界は、ライオネル・ストライクの直撃にもびくともしない特別設計のはずなんだが?


(うぉぉっ!? 結界が軋んでるぞ!? 大丈夫なのかこれ!?)

 思わずこぼれ出た俺の不安な言葉を、


(直撃しているわけではないので、大丈夫……だとは思うんですが)


 リュカが安心させてくれようとしたのだが。


(でも、そもそもここまでの大魔法の激突は想定されていないと思うんだよね。どっちも信じられない威力だもん。人1人で使える魔法の威力を完全に逸脱してるよ?)


 アスナがちょっとどうなんだろみたいな物言いをした。


(防御結界が耐えてくれることを祈るしかないか)

(ですね)

(それよりも今はマリーベルちゃんの応援だよ。がんばれマリーベルちゃん!)


(だな! がんばれマリーベル!)

(マリーベルさん、ふぁいおー!)

(ふぁいおー!)


 俺たちが固唾を飲んで見守る中、マリーベルとアリッサの最強火力の撃ち合いは続いてゆく。


「これが伝説のカガヤの神聖魔法、その最大奥義魔法ペンドラゴン・アヴァランシュ。やるわね、アリッサ」


「お姉さまこそさすがです。この絶大な威力。ローゼンベルクの秘儀はやはり最強の名に相応(ふさわ)しいです!」


「私が使っている魔法よ。ローゼンベルクは関係ないわ!」


「お姉さまは本当に強情ですね。ですが世界をあまねく照らす神龍精霊ペンドラゴンの聖なる炎は、最強の炎すらも塗り替えます! 強情なお姉さまの心ごと、全てを喰らい尽くしなさい、ペンドラゴン・アヴァランシュ!」


 アリッサの放つ黄金の炎が、神々しいほどに燃え盛っていく。

 それとともに黄金のドラゴンが、漆黒の不死鳥をじわじわと押し込み始めた。

 黄金の支配域が広がっていき、漆黒の不死鳥が黄金の光に飲み込まれ始める。


(ヤマト!? マリーベルちゃんが押され始めたよ!?)

(くそっ、全力を出してもダメなのか――!)


 アリッサのあまりの強さの前に、アスナと俺は思わず席から腰を浮かせてしまう。

 俺にいたってはもう、敗北の予兆をひしひしと感じ取っていた。


(なるほど)

 しかしリュカだけはそう言うと、冷静な眼差しでデュエルを見つめたままで、大きく一度頷いたのだ。


(リュカちゃん?)

(リュカ?)


(大丈夫ですよ、マリーベルさんは負けませんから。見ていてください)


 それは今や最強の姫騎士の1人に数えられる『絶対要塞――アブソリュート・フォートレス』らしい、自信に満ち溢れた言葉で。


(リュカがそう言うなら大丈夫なんだろうな)

(うんうん。リュカちゃんのお墨付きなら安心だよ)


 だから俺とアスナは、いくぶんか安心して再び席に腰を下ろした。


「どうですお姉さま! この勝負、わたしの勝ちです!」


 視線の先。

 炎属性の姫騎士らしく真っ向勝負で(たけ)るアリッサに対して、しかしマリーベルは妙に落ち着いていた。


「久しぶりにね、気分がいいのよ」

「え?」


「全力を出せるってこんなに気持ちいいんだって。ずっと忘れていた感覚だったから。うん、今の私は本当に気分がいいの」


「……それがどうしたというのです?」

 急にデュエルとはあまり関係なさそうなことを言い出したマリーベルに、アリッサがいぶかしげに問いかける。


「だから今の私はこれっぽっちも負ける気がしないの。そういうわけだから、ここからは全力の全力を出して、気持ちよく勝ちに行くわね」

「え――?」


「あらアリッサ。まさかこれが、私の本気の全力だなんて思っていなかったわよね?」

「な――っ」


「だったら見せてあげる。かつて神童と呼ばれた私の力を。本気になった私の全力を――! 煉獄の焔天に集いし、漆黒の業火よ! 我が手に集え!」


 マリーベルは右手を天高く掲げると、再び詠唱に入った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ナルホドー・フリージアとして、引退後は実況か解説の仕事に就いて欲しいな(* ̄∇ ̄*) なろうの仕様変更から、使い方がマジで分からなくなっています( ノД`)…
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