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第68話 最強の神聖魔法『ペンドラゴン・アヴァランシュ』

「なんて膨大な魔力……! まさかカガヤの力を完全にモノにしているの!? 力に目覚めてから、たった5年で――」


「たった5年ではなく、もう5年です。最強であるわたしには十分すぎる期間です」


「くっ──!」


「今から使うのは、神龍精霊ペンドラゴンの聖光ブレスを魔法で再現した最強の破壊魔法。黄金の雪崩が全てを飲み込むように何もかもを破壊しつくすそれは、カラミティ・インフェルノの破壊力すらも越えます。お姉さまも名前くらいは聞いたことがあるでしょう?」


「ペンドラゴン・アヴァランシュ──」

「さすがお姉さま。大正解です」


 アリッサは、宝物を見せびらかす小さな子供みたいな自慢げな笑みを浮かべると、朗々とその魔法の詠唱を開始した。


「神龍精霊ペンドラゴンよ。その聖なる翼でもって、天空の光を我が剣に注ぎたまえ──」


 アリッサを取り巻く黄金の聖なる炎が、まるで太陽が地上に降りてきたかのごとく猛然と輝き始める。


 その中心はアリッサが持つ紅蓮スザクだ。

 しかしその刀身は見慣れた真紅色ではなく、光輝く黄金色に染まっていた。


 真紅から黄金へと様変わりしたアリッサの炎を見て、


(なんて魔力の大きさ!? 信じられません!)

 リュカが驚きの声を上げた。


(魔力量ならリュカの方が上だろ?)

 さしものアリッサも、こと魔力量に関してはリュカの足元にも及ばないはずだ。


(えっと、総量的な話ではなく、一度の魔法に注ぎ込める魔力量のことです)


(あのねヤマト。リュカちゃんのフェンリルは8つの羽がそれぞれ別の魔法式で動いているの。1つの魔法式にすると流れる魔力量が膨大になりすぎて、どうしても暴発したり暴走しちゃうから、分割しているのよ)


 リュカの言葉をアスナが補足してくれる。


(なるほど、そういう違いな)

 リュカの魔力総量は、実質無限と言っていいレベルで膨大だが、フェンリルに流してコントロールできる魔力量には限界があるってことか。

 

(ですがこの魔法量は異常です。こんな大量の魔力、一度に1つの魔法式につぎ込んだら、普通は確実に暴走してしまいます……!)


(ありえないほど大量の魔力を消費し、なおかつ暴走させない自信もあるってか)


(しかもものすごく複雑な魔法式なんです。よくこんなものを寸分の狂いなくコントロールできますね……!)


(まったく。さすがとしか言いようがないな)


 リュカの言葉に俺の喉がゴクリとなった。


「神龍の叡智と力でもって、目の前に立ちふさがりし全ての敵を断ち切ってみせよ――!」


 詠唱が進むごとに、黄金の炎が激しく激しく燃え盛ってゆく。

 しかしマリーベルはそれに対して何も行動を起こしてはいなかった。


「ぅ――」

 気圧(けお)されたようにアリッサの黄金炎を見つめている。


「どうしたのですか、お姉さま? 既にペンドラゴン・アバランシュは完成しようとしています。このままでは負けてしまいますよ? まさか諦めてしまったのですか?」


 そんなマリーベルに、アリッサが挑発的な笑みを浮かべながら問いかける。


「私は──」


「お姉さまにはローゼンベルクの秘儀カラミティ・インフェルノがあるでしょう?  まさか撃たずに負けるおつもりですか?」


「──っ! あれは――っ!」


「困りましたね。お姉さまの心を完全に折るためには、お姉さまの最大奥義であるカラミティ・インフェルノを打ち破らなくてはいけないのに」


「なっ──!」


「だってそうでしょう? 弱いお姉さまを倒しても、何の意味もありません。強いお姉さまを一編の余地もなく叩き潰し、完膚なきまでに心を折らないと、お姉さまは本当の意味でわたしの強さを理解してくれないと思うんです。だから使って欲しいんですよ」


「このっ、どこまでもバカにして……!」

 さっきまでは弱きの虫が覗いていたマリーベルの声に、本来の好戦的な色が混じり始めた。


 決闘を挑まれた時とまったく同じような状況だ。

 やっぱりマリーベルはどれだけ否定しようとも、根っこはローゼンベルクなんだよなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アリッサは故意に上からの発言をして、アリッサを煽っているのかな(-ω- ?) 態と嫌われる様な発言をして、姉の全開を引き出そうとしているのか、シンプルに脳筋過ぎて全く空気が読めないのか・…
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