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第64話 ARE発動! Affirmative Reaction for Escape!

「ぐうっ! さすがの砲撃力だなアブソリュート・フォートレス! 並の姫騎士ならこれでひとたまりもないだろう! だが私の轟炎は止められんぞ! 燃えよ炎! ライオネル・ストライク・フルチャージ・セカンドギア!」


 ティファニアがまとう炎の獅子がさらに激しく、勢いを増して燃え盛ってゆく!


(なっ、まさか!? ティファニアはセカンドギアまでは習得していなかったはず! ってことは今日のために奥の手を用意していたか! やるなっ!)


「さらに威力を強化してきた!? ううっ、だめです、突破されちゃう――!」


 荒れ狂う巨大な炎の獅子が、フェンリルの子機を砲撃ごと跳ね飛ばすと、一気にリュカへと肉薄する!


「もらった! 不敗神話とともに落ちろ! アブソリュート・フォートレス!」


 獰猛な炎の獅子が動けないリュカを飲み込む――かと思われたその寸前!


「Affirmative Reaction for Escape!(アファーマティブ・リアクション・フォー・エスケープ=脱出のための積極的反応行動)」


 戦闘中はまともに動けないはずのリュカの身体が、鋭い軌道で舞い上がった!


 リュカはライオネル・ストライク・フルチャージ・セカンドギアを、身体を炎にかすめさせながら、ギリギリすんでのところでかわしてみせる!


(ヤマト、アレだよ! アレが決まったよ!)

 アスナが興奮を隠せないといった様子で、俺の肩をバシバシと叩いてくる。


(ああ、アレしたな! でもちょっと痛いぞ!)

(えへへ、ごめん。興奮しちゃって)

 

 では説明しよう!


 Affirmative Reaction for Escape(アファーマティブ・リアクション・フォー・エスケープ=脱出のための積極的反応行動)。

 略してARE=アレ。


 それは自分自身をフェンリルの一つと見立て、脳波コントロールによって自身の身体を飛行させるという、近接レンジに攻め込まれた時のために用意した緊急脱出行動だ!


 これならリュカは身体を動かさずに、脳内シミュレーションの延長で移動することができる。


 その切り札が見事に決まったのだ!


「なっ、かわされただと――? 馬鹿な――」


 盛大に空ぶったティファニアが慌てて急停止するが、ライオネル・ストライク・フルチャージ・セカンドギアの発動を終了させるのにわずかに手間取り、次の行動に入るのが遅れる。


 その決定的な隙を見逃すリュカではなかった。


 既にリュカは――空中で頭を下にした上下さかさまの状態で――8枚のフェンリルを、自分の元に引き寄せている!


 上下さかさまでも、リュカの身体はブレることなくしっかりと安定していた。

 最近の空中逆上がりの練習が、空中姿勢制御という形で効果を発揮しているのだ!


「背中ががら空きです! ガトリング・フルバースト!」


 リュカはそのまま上下さかさまの状態から、必殺の魔力砲撃をティファニアに叩き込んだ。


 ライオネル・ストライク・フルチャージ・セカンドギアの撃ち終わり処理にもたつくティファニアの背後から、リュカの攻撃が全弾直撃した。


 こうなればもうティファニアには対抗するだけの術は残されていない。

 ティファニアの防御加護が一気にゼロになり、


 カンカンカンカン!

 デュエル終了を告げるゴングが高々と鳴り響いた。


『デュエル・オールオーバー! デュエル・オールオーバー! 目にも止まらぬ一瞬の逆転劇! ティファニア選手の勝利かと思った瞬間、なんとリュカ選手が鋭い動きで空中に逃げていた! 絶対要塞は空も飛ぶ! 最強バーニング・ライガーすら、このシンデレラガールを止めることはできなかったぁぁっっっ! 全勝対決、勝ったのはライトニング・ブリッツ所属! リュカぁぁぁぁ・フリージアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』


 マイクパフォーマンスが勝ち名乗りを上げると同時に、地上に着地したリュカが、


「あわわっ」

 バランスを崩して盛大に尻餅をついた。


 そのあまりにも可愛らしい仕草に、会場に今日一番の大歓声が巻き起こった。

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