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第101話 よく似た姉妹、マリーベル&アリッサ

「アリッサ!? なんでこんなところにいるのよ?」

 マリーベルが驚きからか、びくりと肩を震わせる。


「予定より帰りが遅いようだったので、駅までお迎えに上がりました」

「そんなこと頼んだ覚えはないんだけど」


「自発的に迎えに行くのは、妹であるわたしの役目ですので」

「っていうか、よく会えたわね。寄り道とか別のルートを通ってたら入れ違いになったでしょ?」


何人(なんぴと)たりとも姉妹の間に結ばれた尊い絆を分かつことはできません。お姉さまのいるところにアリッサありです」


「ああそう……」


 マリーベルはまともに議論するのもアホらしいと思ったのか、なんとも投げやりに呟いた。


「それでお姉さま? 今日はお仕事のはずだったのでは?」

「そうよ。スポンサーのお仕事」


「その割には水鉄砲で楽しく遊んでいたような会話をされていたように思えたのですが?」


「終わってからちょっと遊んだだけ。屋内プールでのお仕事だったんだから、ついでよついで」


 ちなみに『ちょっと』=2時間である。

 まぁまぁしっかり遊んだな。


「アリッサも一緒に遊びたかったです」


「そんなこと言われても、ライトニング・ブリッツのスポンサーの仕事に、バーニング・ライガーのアリッサは連れていけないでしょ」


「ぶぅ……」

 アリッサが頬をクサフグのようにプクっと膨らませて、不満をアピールした。

 その仕草がマリーベルとあまりにそっくりで、


「ははっ」

 俺はなんとも微笑ましく感じて、小さく笑みをこぼした。


 育った環境が同じだからってのもあるんだろうけど、きっとアリッサにとってマリーベルは全てのお手本なんだろうな。


「どうして笑ったのですかヤマト?」


 アリッサが俺をムッとした顔で睨んでくる。

 おっとと。

 バカにされたと思ったのかもしれない。


「マリーベルと仕草がよく似ているなって思ってさ。やっぱり姉妹なんだなって改めて思ったら、なんか微笑ましくてさ」


「それはもちろん、血を分けたこの世で2人だけの姉妹ですから」


 マリーベルに良くていると言われて、アリッサがムッとした顔から一転、なんとも嬉しそうな顔を見せる。

 すぐにころころと表情が変わるのも、本当にマリーベルとそっくりだ。


「別にそんなに似てないでしょ?」

「いいえ似ています」


「似てないから。ねー、リュカ?」

「え? いえ、その、どうなんでしょうね?」


 にこにこと会話を見守っていたリュカは、しかし突然マリーベルに同意を求められて、曖昧に言葉を濁した。


 リュカの心情的には同じチームのマリーベルの味方をしたいだろう。

 しかし実際に2人が似ているかどうかと問われればぶっちゃけ似ているので、答えを曖昧にはぐらかしたのだろうと、俺はリュカの態度から推察する。


 さて、片方を立てればもう片方が立たず。

 これ以上、無益な論争が続くのも非生産的なので、俺は話を変えることにした。


「ところでみんな、お腹空いてないか? 夕飯までは時間もあるし、せっかくだしどこかで軽くスイーツでも食べていかないか?」


「えっと、その、実は少しお腹が減っています」

 リュカが少し恥ずかしそうにつぶやき、


「そうね、私も運動してお腹が空いたわ」

 マリーベルは特に恥ずかしがることもなくストレートに言って、


「お姉さまが行くなら、わたしもご一緒します」

 アリッサはマリーベルに追従する。


「決まりだな。この近くに最近女の子に人気花丸急上昇中のスイーツカフェができたから、軽く食べていこう」


「ヤマトさんって、ほんとよく分からないリサーチを怠らないわよね」

「それはもう、ライトニング・ブリッツの頼れるデュエル・アナリストですから」


 なぜかリュカが自慢げに胸を張った。


 一応、若い女の子の気持ちを理解できるように俺なりに頑張っているんだよ。

 残念ながら成果はイマイチ出ていないのだが。


 その後、俺たちはみんなでスイーツカフェに向かった。


 あれこれ頼んでワイワイやっていたものの、途中で顔バレしてしまい、リュカ、マリーベル、アリッサの全員がお客さんからサイン攻めにあってしまうハプニングが発生してしまい、最後は逃げるようにしてお店を後にした。


 ま、それも含めて俺たちはスイーツタイムを楽しんだ。


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