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第10話 ブレイビア王立魔法院

 ってなことがあって、翌朝。

 俺はリュカを連れてとある施設へとやってきていた。


 ブレイビア王立魔法院。

 ブレイビア王国の英知が集う、世界最高峰と名高い魔法専門の研究機関だ。


 そこの敷地内にあるドでかい施設──本館の裏口の前に俺とリュカはいた。


「あの、ヤマトさん。ここって……」

「あれ? リュカはブレイビア王立魔法院を知らないのか? 相当、有名だと思うんだけど」


「もちろん知っていますよ。姫騎士でここを知らない人なんて、いませんから」

「だよなぁ」


「そうではなくて、どうして朝から早起きをしてこんなところに来たのかなと思いまして。というか、よくブレイビア王立魔法院の入館パスなんか持っていましたね?」


「ゴッド・オブ・ブレイビアのチームランク3位までのデュエル・アナリストには、特別にここの入館パスが支給されるんだ」


「……それってフレースヴェルグのデュエル・アナリストの入館パスってことですよね?」


「そうだな」


「そうだなって、ヤマトさんはフレースヴェルグはクビになったんですよね? そして今はうちの――ライトニング・ブリッツのデュエル・アナリストですよね?」


 リュカが呆れたような、心配するような、なんとも言えない視線で俺を見る。


「なーに。1日2日は誤差だ、誤差だ。気にするな。それに、ついうっかり忘れてしまうことってあるだろ? 仕方ないよなぁ、だって人間だもんなぁ。忘れちゃうことだってあるよ、うん」


 そんなリュカを俺は軽く笑い飛ばした。


「いいんでしょうか……?」


「ま、入館パスはそのうち返せって言われるだろうから、その時に返せばいいさ。そんなことより、そろそろ出てくるはずだ」


 俺がそう言ったのとほぼ同じタイミングで、ブレイビア王立魔法院の本館裏口のドアが開くと、一人の女性が現れた。


 栗色で少し巻き毛なふわふわの髪。

 美人というよりかは可愛いいう言葉がよく似合う、整った顔立ち。


 スラリとしたモデル体型のスタイルを見せつけるかのように、身体にフィットした薄手のリブニットを着ている。


 スカートはこれまたスタイルの良さを見せつけるかのようにタイトな膝上で、健康的な太ももが目にまぶしい。


 とても美人なのだが、その顔はとても不愉快そうな顔をしていた。

 美人さんは鋭い目つきで俺を睨むと、開口一番に言った。


「さすがランキング2位のフレースヴェルグのデュエル・アナリスト様ともなれば、朝一でアポなし面会なんてふざけた真似を、平気でしてくれちゃうわけね。朝のクッソ忙しい時間にいきなり呼び出されたら、たまったもんじゃないわよ」


 皮肉たっぷり、相当お怒りのようだ。


「ああ、そこはクビになった。今は別のチームでデュエル・アナリストをやっているんだ」


 と、ここまでイライラ顔だった美人さんは、俺の言葉に驚いたように目を大きくすると、一転、笑い顔に変わった。


「え、なに? ヤマトってば、フレースヴェルグをクビになったの? あはは、ウケるー! いったい何をしたのよ? パワハラ? モラハラ? セクハラ? なんにせよ、あんたならやると思っていたのよねー」


 そして大声で笑いながら、俺の肩をバシバシと叩き始める。


「おいこら、なにが『あんたならやると思っていたのよねー』だ。人を社会的に抹殺するようなことを言ってんじゃねぇよ」


「えー、でも実際にクビにされたんでしょ? ってことは何かしたんでしょ?」

「何もしてないってーの」


「何もしてないのにクビにはならないでしょ? あ、無能すぎてクビになった的な? それはそれでウケるー!」


「お前な……」


 と、そこで、


「すみませんヤマトさん。こちらの女の人はどちら様なのでしょうか?」


 恐るおそるといった口調のリュカに聞かれて、俺はリュカのことをすっかり置いてけぼりにしていたことを思い出した。


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