エピローグ 猫と一緒に
山中のドタバタから、報告書の作成やら何やらであたし達は数日間忙殺された。
当の本人である七海が、説諭と始末書で済んでいるのに比べると実に不公平だ。
とはいえ何とか諸事を済ませると、その日のあたしと明希はギリギリ日付が変わる前に、帰る事ができた。
「疲れたー」
帰りの車の中で、あたしはぼやいた。
「明日もフツーに仕事って酷くない?」
「同感だ」
明希もぐったりしながら答えた。
「次の休暇は、温泉とか行きたい。ご飯作らなくてもいいし」
「いいな、何もしなくていいな」
明希も賛成のようだ。
「二人でだらーっと温泉入って、ダラダラしたいねー」
「行こう! 温泉」
二人で温泉か。いいな、それ嬉しい。一応は警察官だから、そうそうゆっくりも出来ないけど二人でゆっくり旅に出るのもいいな。
この先、二人で色々な所に行ったり、色々なことを体験したり。
この先も……。
「ずっと二人で……」
あたしはポツリと呟いた。
「環?」
「ううん、なんでもない」
あたしは、頭を振って誤魔化した。
「そっか……」
明希は、ちょっと俯いた。
「今回は、心配かけたね。ごめん」
「いいよ、そんな。元に戻れたし。『プラム』に新しいボトル入れたし」
正確には、入れさせた……だけど。
「もし、猫でも環は一緒にいてくれた?」
「当たり前じゃん、明希。あたしの恋人だよ! 何だって、どこだって一緒だよ」
あたしは、食い気味で答えた。
「ずっと……一緒だよ明希」
「ああ、ありがとう。ずっと一緒だ、環」
ずっと一緒、あたしは胸の中でもう一度繰り返した。
猫だって、人だってずっと一緒だよ。
次回は夏コミの予定です。
七月ごろから開始予定です。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。