3 文化祭と打ち上げ
忙しかった日々を乗り越え、今日は文化祭最終日。
「文化祭、準備は忙しいけど、当日はそれほど忙しくはないと思うの。」
「うん、準備は忙しかったね、本当に。」
「そうね。で、当日なんだけど、学校では一緒に行動出来ないけど、終わったら私の家で打ち上げしない?」
「茜さんの家で?いいんですか?」
「そう。昨日ごちそう作ったの!温めなおして、2人で打ち上げ!どう?」
「いいですよ!おじさんとおばさんと一緒にご飯食べるの久し振りだしね!」
「あっ…。お父さんとお母さんは今日は居ないの…。」
「えっ…。」
本当に2人きり?それって…。
「とにかく2人で打ち上げ!わかった?」
「わ、わかった…。」
そこからなんだかふわふわした気持ちで一日が過ぎていった。
よくわからないうちに文化祭も終わり、生徒会室で一旦皆で集まって今日の報告を行い解散となった。
何事もなく、解散するはずだった。
「会長!無事に文化祭も終わったことだし、打ち上げ行きましょう!」
「えっ…?」
「予約してあるんですよ!国道沿いの食べ放題の店!この後みんなで行きましょう!」
「私おなかぺこぺこだよ~!」
「俺も!今日はいくらでも食えそうだぜ!」
「じゃあ、会長。支度も済んだみたいだし、行こうか。」
相変わらず僕を数人が睨みつけてくる。
「僕は用事があるので…。」
「ははっ。最初から誘う気なんかないっつーの。」
「冬木君…。」
「じゃ、行こーか!」
「あ、私は…。」
「「ん?」」
全員の視線が茜さんに集まる。
「じ、じゃあまた今度ね。冬木君。」
嘘だろ…?
あれから頭が真っ白になってよくわからないうちに家についていた。
茜さん、2人での打ち上げは…?どうでもよくなった?いや、俺の前以外では生徒会長としての顔がある。
だから、生徒会の皆の誘いを断り切れなかっただけだ。
きっと早めに切り上げて帰ってくるに違いない。
…茜さんの家の前で待っていよう。
「遅いな…。」
もうすぐ3時間は経つ。2次会とか行ってるのかな?まさか!断り切れずにいるだけだ。
……!帰って来た!あれ?2人?
「あ?何でお前がここにいるんだよ!」
相馬先輩?なんで?なんでアンタが茜さんの肩を抱いて歩いてるんだ?
「あっ!だ…冬木君!これは…」
「お前、会長の家の前で何やってんだ!ストーカーか?ふざけんなよ!」
「ち、違う!僕は…。」
「何だよ、ストーカーじゃないってんなら、彼氏だとでも言うつもりかよ!ふざけんな!」
「僕は茜さんと約束していて…。」
「茜さんだ?!お前何名前で呼んでんだよ!会長、コイツと付き合ってるわけじゃないんだろ?!」
「わ、私は…。」
「こういう奴ははっきり言わないとわからないんだよ!言ってやった方がいい!」
「私は、
…付き…
…合って…
…ない…。」
「……僕は偶然ここを通りかかっただけです。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。さようなら、生徒会長。」