2 生徒会の仕事
僕と茜さんが所属している生徒会では、今忙しさのピークを迎えていた。
文化祭があるからだ。
各部活・クラスからの催し物の報告、決定していない所には催促、場所や予算の割り振り。
会議を重ねて話し合って決めなければならず、その為の資料作りだけでも膨大な時間がかかる。
「とりあえず仮で構わないから場所をこちらで割り振って、会議で調整を掛けましょう。」
「では、私が草案を作ります。会長は予算の方をお願いしてもいいですか?」
「わかったわ。皆、一通り仮で資料を作ってみて。その後皆で精査してみましょう。」
皆慌ただしく資料作成に取り掛かる。
「あの…僕は何を担当すれば…?」
「お前はいいよ。資料作りわかんないだろ?」
冷たい言葉を投げかけてくるのは、相馬達也先輩。3年生で茜さんに好意を寄せているらしい。
「ふ、冬木君には私の手伝いをお願いしようかな。個々の数字をこっちに割り振ってほしいの。」
「チッ!」
茜さんが僕に補佐を頼んだことが面白くなかったのだろう。あからさまに舌打ちをする相馬先輩を見て、茜さんも眉を顰める。
(気にしないで。これよろしくね。)
(大丈夫です)
皆に聞こえない様、小声でやり取りする。その様子も気に入らないのか、相馬先輩に睨まれる。
資料作成に没頭していると大分外も暗くなってきた。
「今日はここまでにしましょう!みんなお疲れ様!」
茜さんがそう声を掛けると、皆帰り支度を始める。
「会長、この後皆でお好み焼き食べに行きませんか?」
「え?そ、そうね、みんなはどうする?」
「私行きた~い!」
「私も!」
「俺も行きます!」
「じゃあ俺も行くよ。」
そう言いながら何人かが僕を睨みつけてくる。
あ~、お前は来るなって事?はいはい。
「僕は用事があるので帰ります。」
「えっ?…そう、私は…。」
茜さんが迷っている。出来れば僕と一緒に帰って欲しいけど…。
「わかったわ。冬木君はまた今度ね?じゃあみんな行きましょう。」
そうなるよね…。生徒会を運営するにあたって人間関係も大事だよね…。
わかってるけど、やっぱ寂しいな…。