So long! さようなら! 58
58.
ひとまず歩の反対がないことを知り、南山さんと私にとって最大
の懸念がなくなったことで、それはやはり私達の付き合いにも
大きく影響したのだった。
会う度に私はどんどん南山さんを好きだという気持ちが
大きくなっていった。そんな私の気持ちを不安にさせること
なく、いつも彼は包み込んでくれた。
歩くんの気持ちが僕達の結婚に問題にならないのなら・・
大山の真似をするのは癪に障りますが、と南山さんは
寒い言い草で、だけど行動力は遥ちゃんから聞いていた大山さんに
負けない位早かった。
私達は挙式後、籍を入れることにした。歩の養子問題は歩自身
の結論が出ず、2~3年後に持ち越しとなった。結婚式を
挙げる前に住まいを決め、私達、歩、弟の落ち着き先が
最優先事項で決まった。
その新しい住まい先で弟のサポートをしてくれる人を
見つけた。午前中1時間、午後から2時間専業主婦を
ターゲットにお金はかかったけれどご近所にチラシを入れる
とすぐに決まった。一日3時間程度なら支出の負担も少ない
し、修造のことも毎日不自由してないか可哀想に思っていた
ので、本当に良かったと思う。
新居へはひとまず弟だけ、一足先に入居することになった。
そして何と籍は早々に入れたものの、翌3月に挙式した
大山さんと遥ちゃん達に続いて2ヶ月ちょっと遅れで私は
June ブライドになる。
問題は修造のこと。
弟は未だ遥ちゃんの再婚のことを知らない。
私が話してないから。歩にも口止めしてある。
南山と順子の結婚式には遥も身体の不自由な修造も
呼ばないことにしている。