So long! さようなら! 51-2
51-2.
その様子とぶっ飛んだ台詞に私も釣られて笑ってしまった。
『止めてくださいぃ~、饅頭を突っ込むなんて
ヒド過ぎますぅ~』
何とか目頭で留まり決壊せずにいるけれど、笑いながら
何だかじわっと涙が出てきた。
そう言って笑い過ぎる振りでそっと今にも零れ落ちそうになっている涙を
私はそっと拭った。
・・・
恐らく順子さんの心配事は杞憂に終わると考えている。
父親はともかく、我が母親は世間一般とは少し違った考えを
持っている人だから。
彼の宮沢賢治と同じ星めぐりを持つ母は、賢治と同じように
人に対する感性が豊かで、やさしい眼差しを備えている。
愛した人なら、相手が同姓であろうと、シングルマザー
だろうと構わないのよ、と俺が小学生の頃から発言して
いた。
まぁ、現実になると意見を変えるというようなら
その限りではないだろうが。
「ハハッ、まぁ、ものの例えですがね。
そういう僕サイドのことは心配しなくて大丈夫ですよ。
寧ろ、僕の心配はあなたです」
『私ですか? 』
「ええ、実を言うと少し自信がないもので」
『私、毎回南山さんとお会いするのが楽しみ・・なンですよ? 』
つい、こんな積極的な返事をしてしまったのだけれど
自分自身、胸の内を知った思いがした。
どんどん、彼に気持ちが傾いている。
「ほんとですか、良かった。
僕もですよ。
仕事のキツイ時もあなたと逢えるのを励みに乗り越えられるっていう
気持ちで頑張ってますから」