So long! さようなら! 51
51.
遥ちゃんから孝則さんの結果報告を教えられた。
何も動きはなかったと。
何もないに越したことはない。今の彼の本気度を疑わずに済むのだから。
だけど復縁話に以前程心動かされることはない。
南山さんに告白されてからというもの、気になるのは彼のこと
ばかりでどんどん孝則さんの存在が遠くになっていくのを
感じる。
あれからちょこちょこ平日の仕事帰りにデートを重ねている。
歩にはまだ話せていない。
歩が孝則さんとの復縁を望んでいるかもしれないからだ。
しかし、このままずっと隠し通せるものでもない。
いつか様子を見て話さなければと思う。
南山さんとの付き合いは新鮮で楽しいものだった。
彼は包容力もあり、そして経済力もある。
デートの時はあまり私の負担にならないよう、南山さんは
結婚の話題は出さないようにしてくれているのに、昨日
逢った時は話の流れでつい私の方がよけいなことを言って
しまった。
まだ何も決まってないのに・・
お付き合いをしているだけなのに・・・
前々から気にしていた言葉がつい口をついて出てしまった。
『南山さんは初婚なのにバツイチでおまけに大きな息子の
いる私なんかと結婚するとなると、ご両親を悲しませるン
じゃないか、反対されるンじゃないかとか、いろいろ考えて
しまいます』と。
「僕の両親はきっとそんな事言わないと思うけれど、万が一
そんなこと言い出したらふたりの口に饅頭をブチ込んでやり
ますよ! 」
南山さんは笑いながらそんな面白いけれど物騒なことを
口にした。
目は笑ってなかった・・。
それなのにその後、自分で放った言葉に何故か受けて彼は笑い転げてた。