So long! さようなら! 47
47.
この一ヶ月余り、歩くん繋がりで頻繁に会ってはいるが
緩々(ゆるゆる)な付き合いに終始している。
もうすぐ順子の元夫、渡邉孝則への遥達の仕掛けが始まる。
まぁ、自分も少しだが弁護士の立場からいっちょかみして
いるのだが。
良い結果が出ても、悪い結果が出ても俺には関係ない。
会う程に見た目の美しさはモチロンのこと、その言動、物事の
捉え方、やさしさ、母性、どれを取っても全力で手に
入れたいと思うようになっていた。
一生に何度も出会えるような女性ではない。
元旦那の検証の結果が出る前に、南山は正式な交際を申し込むことにした。
金曜の夜、順子を食事に誘った。
ホテル内にあるレストランに現れた順子は今まで会ったうちのどの時
よりも一番素敵にドレスupしての登場だった。
内面を知る南山には周りの誰よりも数倍美しく輝いて見えた。
・・・
『こんばんは』
「こんばんは、今日は招待を受けていただいてありがとう
ございます」
『こちらこそ、お招きいただいてありがとうございます』
南山は本題を持ち出すのは最後、と決めていた。
それまでの時間をふたりの楽しいだけの時間にしたかったから。
順子には家に帰ってからいっぱい悩んで貰うことにしよう。