So long! さようなら! 43
43.
南山顧問弁護士
俺は昨年の春、大山が専務としてこの支店に来た時
引き抜かれる形でこの会社の顧問弁護士となったのだが
以前の会社に勤めていた時2年弱、そこそこちゃんと
付き合うという形をとっていた女性がいた。
キュートでウイットに冨み頭の回転の速い女性で話しても
退屈しない子で年も年だしあのまま続けていたら年貢を
納めていたかもしれない。(南山の元彼女、鈴木芙紗子31才)
喧嘩もしたことがなく相性はかなり良かったと思うが遠距離
恋愛は性に合わない2人だった。
遠距離といっても車で70分、電車乗り継ぎで100分程度のもの
だったのだが。
俺はオレでこちらでGF作ってまぁ適当に遊んでたし、お互い
の都合をつけて無理に会おうってふたりでもなく、気が
付くと月に一度会ってた付き合いも自然消滅してた。
彼女のほうもかなり年上の既婚者と付き合い始めるように
なって、全然会えない俺よりもだんだんそっちのすぐ側に
いるおっさん(悲しいが俺もおっさん><:)に嵌っていき
風の噂で不倫相手を挟んで奥さんと修羅場になって訴訟
起こされて会社にも居られなくなったと聞いている。
共通の友人から、今の彼女はストレスからブクブクに太って
しまい、昔のスレンダーで活き活きとしていた頃の面影は
残っていないぞ、と聞いた。
俺はなんで大山の誘いを受けたんだろうって考えることがある
のだが、結局その程度にしか彼女に気持ちがなかったんだろうなと思う。
縁がなかったとしか言いようがない。
彼女、その不倫相手にはかなりの執着があったと見える。
俺には何も言って来なかったし、見事にお互いフェードアウ
トさせたのだから。
大山に今の会社に誘われてなければ彼女と結婚していたかも
と考えると、人の縁とは不思議だなと感慨深いものが
ある。