So long! さようなら! 37
37.
行き詰まりを感じた私は遥ちゃんがハネムーンへ行く前に
相談してみようと思う。
同じような経験をした聡明な遥ちゃんならきっと何か道が拓けるような
アドバイスをくれそうな気がするから。
ハネムーンの準備やら新婚旅行後の新居のこと等できっと今頃
遥ちゃんは忙しいはず。
けれど、どうにもこうにも行き詰まってしまい、駄目もとで遥ちゃんに
連絡してみた。
もしかしたら彼女の心遣いかもしれないが、大丈夫、時間は
あるのでと、話を聞いてもらえることになった。
『忙しくないと言ったら嘘になりますけど、お義姉さんに
会うってことならちょうどいい息抜きになりますから』
「忙しい時にごめんなさい。
でも何だか考えれば考える程行き詰まっちゃって。
自分の考えだけで結論を出すのに自信もなくて、今一番身近に居る
弟なんて一番相談出来ない相手だし。
途方に暮れてたら、遥ちゃんの顔が浮かんだのよ」
『頼ってくれてうれしいです。
早速明日にでもLunch如何ですか? 』
「ええ、ありがとう」
遥ちゃんと私は互いの家からちょうど中間地点にある場所を
選んで会うことになった。
閑静な住宅街を抜けると大きなスーパーがあり、その付近に
こ洒落た洋食の店があるのでそこで落ち会うことに。
まだまだ残暑が残っているけれど、店に向かう道すがら
ふと秋が来て冬が来、そして新しい年を迎え、とこの先も
私は何の変化もない今まで通りの少し寂しい生活を送り
続けるのだろうな等と感慨に耽けりつつ歩みを進めていたら
気が付くともう店の前に着いていた。
遥ちゃんがすでに先に着いて席に座っているのが、窓ガラス
越に外から見えた。
幸せ一杯の遥ちゃんはとても輝いていた。
思わず私はガラスで出来た店の壁の中に佇む自分の姿に
見入ってしまった。
なんだか少しやつれて寂しさを湛えた中年の女がそこに居た。
ふぅ、ため息をひとつついて・・・
気を取り直し、元気な風を装って私は店の中に入って行った。