So long! さようなら! 36
36.
歩との交流が深まるにつけ、途中で頓挫していた養育費援助
等の再開と大学進学に掛かる学費も卒業まで面倒みると
言うようになった。
本来なら同じ自分の子なのだから、いちいち宣言などせず
支払って当たり前なのにって思ってしまう。養育費だって
ここ2年滞ってた。
若い妻と今も離婚せずにいたら、私や歩のことなど微塵も
気に掛けることなど、なかったろうにと思う。
そんなことが手に取るように透けて見えるから今の状態は
心中複雑なのだ。
だけど、復縁を願って前妻との離婚後、何くれとなく接触を
図って来る元夫がくれるやさしい言葉に騙されちゃあ
いけないって思うのに・・・
復縁してしまったら、今の甘い言葉を囁き続ける男は
この世から居なくなって、きっと昔から私の夫だったような
顔をして自分の仕出かした過去も忘れ去り、時に亭主関白に
なり私のことも大切になんてしない、そんな姿が目に浮かぶ
って言うのに・・・
つい、今の心地よい立ち位置に未来永劫このままでいられる
様な錯覚に陥ってしまいそうな自分が怖い。
そんな風に沸々とジレンマに陥り悩んでいる頃、遥ちゃん
から贈与の話を貰ったのだ。
私は遥ちゃんからものすごいLuckyを受け取ることになった。
税金を支払った上での満額の3千万円。
その手続きの為、一週間後に遥ちゃんのご主人の会社の
顧問弁護士に会うことになっている。
挙式は来年の3月末に予定しているそうだが、ハネムーン
へはすぐに行くはずの遥ちゃんは、その頃遠い地に居て
ここには居ない。