So long! さようなら! 27
27.
正式な付き合いではないが、気持ちを伝えている女性がいる。
昨年の4月にこちらの支社に異動して来てその人柄と魅力的な性格
そして何より仕事が出来る伊川遥をいつしか目で追っている自分に
気がついた。
今年の1月からは私の秘書業務をお願してある。
毎日すぐ側にいることで、更に彼女に魅了されてしまい交際を
申し込んだのだが、やんわりと断られてしまった。
理由は明確なものだった。
今の職場、すなわち仕事を失いたくないということ。
残念ながら恋人にはなれなかったが気持ちは伝えたので気長に
次のチャンスを待つことにした。
うちの社にはお抱え弁護士がいて、そいつは異動時一緒に
引っ張って来た大学の同級生で南山と言う。
その南山から7月になって面白い話が耳に入って来た。
6月頃に伊川遥から自動車保険と生命保険の両方の保険の件
で相談され、仕事を依頼されたというものだった。
『誰のだったんだ? 』
「元旦那のだよ」
『へぇ~! 』
「えっ、かなり個人的興味あンの? 」
『お前、守秘義務ってもん知らないのか? 』
「知ってるさ。
お前だからちょっと話題にしたんだけど
ほんと、お話しちゃぁいけない話題だったわ
わたしって馬鹿ねン! 」