ぬらりひょんをつかまえろ
給食の時間に事件が起きた。
鷲峰さんの食器が足りないのだ。
誰か重ねて使ってないか確認するがやはり足りない。
鷲峰さんはいじめられたと泣き出してしまった。
どうにかしようと教室を見渡すがおかしい事に気が付く。
席が一つ多いのだ。
先生におかしいと伝えてもいつもの様に笑顔でふわふわしている頼りにならない。
「これってぬらりひょん?」
クラスの人気者の相沢くんが突然妖怪の名前を出す。
「どういう事?」
「ぬらりひょんは大勢に紛れ込んでご飯を食べて帰っていく妖怪さ。基本的に無害で危険な事はないとは思うんだけど……」
教室の中には泣き出してしまった鷲峰さんがいる。
「出欠を取れば返事をしない奴が分かるかもしれない……先生!出欠をお願いします!」
おっとりとした動きで先生が出欠を取り始める。
返事をしない奴を注意深く探したが全員返事をした。
おかしい。
そして先生は生徒が増えたわと両手を頬に当て笑顔でふわふわしている。
喜んでいる様だ。
だめだ頼りにならない。
クラスが大騒ぎなのに一人だけ無関心の眼鏡君にどうすればいいか聞く。
正直眼鏡君を頼りたくなかった。
眼鏡君は酷く面倒な顏に変わったが立ち上がり出席簿を先生から奪う。
もちろん先生は笑顔でふわふわしている。
眼鏡君は全員立って後に並べと偉そうに言う。
眼鏡君は出席簿に書かれている一番と二十番の生徒の名前を呼び向かい合わせた机に座らせる。
相沢くんと泣いている鷲峰さんだ。
眼鏡君は机に座る二人に出席番号を言えと偉そうに命令する。
やっぱり眼鏡君は嫌いだ。
黒板に一と二十と書き間に足す記号で繋げて授業でやる様に一足す二十は? と教室の後に並ぶ私達に聞く。
皆恐る恐る二十一と答える。
何をやらせているのか意味がわからない。
眼鏡君は次に二番と十九番の子を呼び向かい合わせた机に座らせる。
わざわざ呼び出し机に向かい合わせて改めて出席番号を聞き黒板に二足す十九と書き教室の後に並ぶ私達に問いかける。
答えはそう……二十一である。
この方法であれば番号が入れ替えられても二十一じゃなくなるからぬらりひょんは出て来れない。
最後に残ったヤツがぬらりひょんだ。
皆に意図が伝わった時に生徒の一人が教室の後の扉からこっそりと逃げ出そうとしていた。
慌てて生徒全員で捕まえようとするが
「逃げていいぞ」
と眼鏡君は大きな声で言う。
皆大きな声で驚き動きを止めてしまっていた。
世紀の大発見なのに眼鏡君は冷めている。
つまらない。
「もし次来るなら食器を忘れるなよ?」
と眼鏡君がいいぬらりひょんは頭を下げて逃げていった。
皆が残念に思う中で先生だけが笑顔でふわふわしていた。
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