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 3歳も半ばになってから家族の様子がおかしい事も、これからどうなるのかもなんとなく予想出来てしまっていた私は、できうる限りサバイバル的な知識や戦闘技術を身に着けようと努力してきた。まあ幼子の体で、しかもほとんどの生活を地下牢で過ごしていた私が出来る事なんてたかが知れていたが、それでもちゃんと頑張っておいてよかったと思わざるを得ない。


 既に親元から離れて………もう既に日付の感覚が分からないが数週間くらいは経過していると思う。


 その間サバイバル本で身につけた知識を用いながら比較的安全な寝床を用意して、人間の体に必要な食糧の調達や水の調達もどうにか日々こなすことが出来ていた。これはかなり運が良かったと思う。

 また、捨てられたあの日に狼たちに出会った事も。



 狼たちは喋りかけた私に酷く動揺した後、ものすごく質問付けにしてきた。なんでこんなところにいるの、とか、どうして俺らの言葉が喋れるの、とか。それら一つ一つに出来るだけ丁寧に答えを返して、ここで生きていくための手助けをしてほしいと申し出てみた。

 どっちにしろこのままだと生きていける気がしないし、手助けをしてもらえないにしろ見逃してはくれるかもしれないと踏んだからだ。


 結果どうなったかと言えば。




 地面にばたりと倒れた一角ウサギを見ながら、肩で息をしていた私は大きなため息を吐いた。持ってきていた小ぶりのナイフが異様に重く感じてへたり込む。


『おー。一角ウサギは安定して倒せるようになったなぁ』

『すごいすごい。まだちいせぇのに頑張ったな』


 この狼たち、とんでもなくいい奴らだった。あの日私の話に号泣した彼らはちゃんと一人で生きていける様手助けをしてくれると約束をしてくれたのだ。それからは寝床の準備や食料の調達など、森で生きていくための知恵をたくさん私に分けてくれている。サバイバル本では得る事の出来なかった知識が本当に盛りだくさんだ。というか思ったより森で生きるの大変すぎた。

 毒草などは事前に植物図鑑を読み込んでいたおかげで避けられていたのだが、魔獣の中に草型がいるとは知らなかった。そのせいで草に食べられそうになったり麻痺する粉かけられそうになったりとてんやわんやだった。森、おっかねぇ。


 ナイフの血を飛ばしてから倒れて動かない一角ウサギの元に足を運び、ナイフを入れて毛皮をはぎ取っていく。多分毛皮は結構使う必要が出てくるだろうからとこうして倒した魔獣の毛皮はとっておくことにしてる。

 毛皮をはぎ取ったら体にある魔石をナイフで抉って取り出しそれを鞄に仕舞う。後は食べたい部分の肉を切り分けて残りは授業料として狼たちに進呈する。これが一連の流れだった。


『今日も焼肉するか?』

『焼肉、焼肉』

『人間は焼かないと食べれないからね。今日も焼くけど……君たちも?』


 うんうんと頷く私よりも数倍でかい狼たちがなんだか可愛く見えて口元をほころばせた。最近は狼というよりちょっと目つきの悪い犬に見えてき始めた。可愛い。

 ならと解体作業をしていらない内臓などを狼たちに食べてもらってから火起こしをして手ごろな枝を探す。それを水筒に入れた水で綺麗にしてから大まかに分けた肉に刺して火の傍の地面に思いっきり突き刺した。

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