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3

 ひとしきり再会の挨拶を終えたのだろう。今度は私の方に視線が注がれた。


 なんだか汚らわしいものを見る目をしているリャミアさんの視線がちくちくと痛む。なるほど、リャミアさんは所謂”主至上主義”とかいうやつなんだな。


「……ユフィ―リア様。そちらの方は」

「マヤです。森で遭難していた私を保護し、助けてくれた方ですわ」


 あなた方と合流するために護衛を務めてくださいました、とユフィが言えばリャミア以外の視線はかなり柔らかいものになった。銀髪の男が私に近付くように歩みを進めてくるので思わず後ずさると、彼は苦笑いをして少し離れた距離でその足を止めた。

 先ほどよりもうんと近くで見るこの人の顔をまじまじと観察する。………うん、かなり顔が良い。いや、かなりなんてレベルじゃない。超イケメンだった。流石異世界、こんな人形みたいに整っている人間もいるらしい。


「マヤ様、初めまして。フィリシアディ・ウィル・ジークフリートと申します。この度はユフィ―リア様を助けて頂きましてありがとうございます」

「………いえ。拾っただけ。気にしない」


 声の良さに戦慄しながらも私はそう答えを返した。ただ私は自分にしてもらった事を他人に返しただけだし。

 視線をユフィに移すと、彼女はすぐにそれに気が付き止めるリャナンさんを押しのけて私のすぐそばまでやってきた。きゅうと柔らかい手が私の手を包んでなんだか気持ちがほっこりする。


「本当にありがとう。是非お礼をしたいから私の屋敷までご一緒しません?」

「………気持ちだけ、もらう」


 ユフィは分かっている。私が何故フードをかぶっているのか。だから彼女はしつこくは食い下がらず、「ですわよね……」と残念そうに呟いて私の手を強く握った。


「また会えます……?」


 その言葉には首を横に振った。

 貴族の令嬢がこんな森に入ってくる事なんてないだろうし、私はこんな”ナリ”だから街に入ることは出来ない。”絶対会えない”とは思わないけど、でもきっともう会えない方の確立の方がうんと高いのは間違いないから。


 泣きそうなユフィの手を離して彼女を軽く抱き寄せた。1か月と少し一緒にいただけだけど彼女からはたくさんの事を教えてもらったし、何より初めての人間の友達だ。とても特別で、大切な子だから幸せになってほしい。


「元気で。ユフィをよろしく」


 後ろの面子に向かってそう言えば、鎧を着た女性が一つ敬礼をした。それを合図にユフィから離れて私は自分の巣に向かって走りだした。追従してくる鹿さんと鷹さんが私の顔を見て困ったような表情を浮かべているのを尻目に、一目散に私はユフィから離れていったのだった。


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