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王子様はいりません!

作者:
掲載日:2020/09/20

はじめての小説投稿です。

拙いところもありますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「お前との婚約は破棄させてもらう!」

何年かぶりに参加した王城での舞踏会でわたしの失礼な婚約者は大声でそう宣言した。わたしは震えた。

この時をずっと待ち望んでいたのだから!





わたし、メアリー・マーガレットが十歳のとき、王城から馬車に乗った王子様が家にきた。

「お前のような女と婚約してやる男は俺くらいだ。感謝しろ。」

馬車から降りた金髪で青い瞳をした王子様は眉間に皺を寄せそう言った。

王子様はこの国の第二王子ジェラールだというのは後で両親から聞かされた。

こんな初対面でジェラールを好きになれるわけが無い。両親も大事な娘である私をそんな男の所に嫁がせるはずがない、と思った。しかし、両親は王家との縁ができると大喜びした。

わたしに拒否権はなく、婚約が決まってしまった。婚約が決まった日には一日中部屋にこもって泣いた。

それを心配したメイドが両親に報告してしまった。

「想う人と結婚できないのは貴族として仕方のないことだ。ジェラール様を好きになる努力をしなさい。」

両親はそう言ってわたしを叱った。

「でもあんな失礼な男好きになれるわけがない!あの言葉もそうだけれど態度は大きいし、名前すら名乗らなかったのよ!」

両親にそう訴えたら母は泣き崩れ、父には頬を叩かれた。

その日からわたしは両親を避けるようになった。


わたしに期待することを辞めた両親はわたしと同い年従姉妹のミシェーラを養子にし、我が子のように可愛がっていた。

ミシェーラは茶髪で緑の瞳と髪と瞳の色はわたしと一緒だが、わたしよりも顔立ちが幼くとてもかわいらしい女の子だ。

両親がミシェーラと家族ごっこをしている間、わたしはジェラールの元へ通わされた。

婚約者の親睦を深めるためのお茶会ということになっていたが、実際はジェラールのストレス発散の場だった。ジェラールがイライラしているとお茶をかけられたり、わたし用のお菓子を床に投げつけられたりした。私は怯えながら城に行き、泣きながら城から帰った。


十五歳になった誕生日、ケーキを用意したとジェラールに呼び出されもしかしたら改心したのかも?と淡い期待を持ってジェラールの元を訪ねた。

「お前にはこれがお似合いだ。ほら、有難く食べるが良い。」

ジェラールはにやにや笑ってケーキを床に捨てた。

わたしは言葉を失った。こんな男がわたしの夫になると思うと吐き気がした。もう限界だった。それからぼうっと立っているわたしをひとしきり笑ってジェラールは部屋から出ていった。

王城のメイドや護衛騎士が哀れむ目でわたしを見ていることに気づいてから涙が溢れて止まらなかった。

「メアリー様、これをお使いください。」

護衛騎士の一人が泣き止まないわたしを見兼ねてハンカチを渡してくれた。

「申し訳ありません…………すぐに……帰りますから…」

「気にしなくて大丈夫ですよ。辛い時には泣いてもいいんです。あなたは何も間違っていません。」

護衛騎士は私が泣き止むまで背中をさすり、優しく接してくれた。他人に優しくされることが久々だったわたしは彼にジェラールへの愚痴をこぼした。

「もう限界なの………どうしてわたしはあんな人と結婚しなくてはならないの…………!私だって幸せになりたいわ………!!」

彼は黙って私の話を聞いてくれた。それだけで十分だった。

しばらくして泣き止むと彼の整った顔が見えて息を飲んだ。黒い髪に赤い瞳でとても綺麗。彼の顔をじっと見ていると彼はくすりと笑った。

「落ち着きましたか?」

「は、はい………!情けない姿を見せてしまい申し訳ございません…!」

彼の問いにハッとなったわたしは慌てて頭を下げた。

そしてそこで自分の手元を見る。彼が渡してくれたハンカチがぐしゃぐしゃになっていた。

「ハンカチが……!申し訳ございません……お詫びをしますのでお名前を教えてください!」

「お詫びは大丈夫ですが…………私はハロルドといいます。」

これがわたしと彼、ハロルドとの出会いだった。


ハロルドと出会ってからジェラールを訪れた帰り道に必ず会話をするようになった。ハロルドは美味しいお菓子屋さんや騎士たちの話など色々な話をしてくれた。そして、わたしがつらい時にはいつも話を聞いてくれた。それだけで十分だった。わたしが十七歳になる年、ハロルドへの気持ちが恋だと自覚した。そして同時にハロルドのわたしを見る瞳に熱があることにも気づいた。


十七歳のある日、朝食を食べているとミシェーラが私をみて叫んだ。

「お義姉様の婚約者がジェラール様なんてずるいわ!わたしもお義姉様の婚約者に会いに行く!」

どうやらミシェーラは前日の舞踏会でジェラールに会い、惚れたらしい。あの最低男に。

両親は可愛がっているミシェーラの方が王族に嫁ぐには相応しいと考えたのだろう。ジェラールの元へ行く際にミシェーラを同行させろと言った。

ジェラールの態度に不安があった。可愛いミシェーラに何かあった場合、わたしのせいにされるかもしれないことも不安だった。

しかし、ジェラールはミシェーラを一目見た瞬間気持ち悪いほど爽やかな笑顔を浮かべ、ミシェーラと話したいからとメイドや護衛騎士そしてわたしまでも部屋から追い出した。

ミシェーラはとてもかわいらしい女の子だ。ジェラールは一目みて気に入ったのだろう。わたしは歓喜に震えた。

これで、あの男と結婚しなくて済むかもしれない!!


婚約してから7年、ここ数年は「お前のような婚約者は恥だ」と王城での舞踏会は招待状すら貰えなかった。それなのにミシェーラとジェラールに会いに行った数ヶ月後に招待状が届いた。一番下にジェラールの直筆で「必ずこい」と書かれていた。

そして舞踏会当日。

わたしではなくミシェーラをエスコートしてにやにやしながらジェラールは私に向かって言った。

「お前との婚約は破棄させてもらう!」

十歳で婚約してから七年、このときをどれほど待ったことか………!!!

わたしは嬉しさのあまり口元を手で隠し泣きそうになった。それを都合よく解釈したのだろう。ジェラールもミシェーラも勝ち誇ったような顔でわたしを見ている。

「ごめんなさい、お義姉様。でも好きになってしまったの………!許してお義姉様………!」

ミシェーラは悲痛そうな声を出しているが目の奥は笑っている。わたしをバカにしているのが丸わかりだ。

「ミシェーラ、仕方の無いことだわ。わたしは身を引きます。お二人共どうかお幸せに。」

わたしはにやにやしそうになるのを我慢しながら舞踏会を後にした。


舞踏会の会場を出るとそこにはハロルドが立っていた。

「ハロルド………!どうしたのこんなところで!ねえ、それより聞いてちょうだい!わたしね」

「婚約破棄、したのでしょう?」

わたしが上機嫌で話しかけるとハロルドは遠慮がちに口を開いた。

「なんで…知っているの……?」

「数日前にジェラール様より新しい婚約者としてミシェーラ様を紹介されました。」

「婚約破棄の前に新しい婚約者を………?」

「ジェラール様も初恋で舞い上がってしまっているようで…………」

ハロルドの言い方に思わず笑ってしまう。

「ふふ。確かにそうね。わたし、ジェラール様を見て笑わないようにするのに必死だったわ!」

笑うわたしをみてハロルドは笑った。

「メアリー様、七年もよく耐えました。私ははじめ泣いてるあなたに同情しただけでした。でも、あなたのふとした仕草や笑顔そして優しさがとても愛おしいと思うようになりました。」

愛おしい、という言葉に反応して心臓がどくんとはねる。ハロルドはそっとわたしの右手に触れる。

「メアリー様、ジェラール様との事が落ち着いてからでいいです。私のことを好きになってほしいのです。」

「……………何を言っているの………わたしはもうとっくにハロルドのことが大好きよ………!!」

あぁ、今日は人生で最高の日だわ!そう思いながらわたしはハロルドの手を握り返した。



その後、わたしはジェラール様とミシェーラによりわたしの悪口を吹き込まれた両親によって家を追い出された。しかし、それを知ったメイドや護衛騎士が過去にジェラール様がわたしにした仕打ちを国王に直訴した。そのため、ジェラール様もミシェーラも今は立場が危ういそうだ。

わたしはジェラール様と婚約破棄し、家から追い出されたおかげでハロルドと幸せに暮らしている。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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