第1章 -兄弟(Brothers)-
ビースト・クロニクル
【登場人物】
翼/エンジェル:男(不問でも構いません)
渡:男
健吾:男
風間修:男
※N
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N(翼):時は二十一世紀。ある研究機関により、『異種間遺伝子交配』という研究が行われていた。 その名の通り、異なる種の間で遺伝子交配をし、宿主となる動物に異なる動物の能力を持たせるというものだ。 初めは足を失ったネズミにトカゲの遺伝子を交配させるというものだった。結果は見事成功し、ネズミは足を取り戻したのだった。 そしてその後、実験は第2段階〈人体実験〉に入った。 これは望まぬ力を与えられた者達の、戦いの物語
ーータイトルーー
翼:ビースト・クロニクル 第1章:兄弟
ーー2021年ーー
風間:よく来てくれた
翼:何なんですか?急に呼び出して
風間:仕事の依頼だ。コイツらについて調べてほしい
翼:デビルズクラブ?
風間:あぁ。彼らもまた能力者のチームらしい。彼らと対等に戦えるのは、君達だけだ。
翼:『俺達』…つまりチームを集めろと?
風間:そうだ。私も君達“兄弟”には期待している。
翼:分かりました
ーー場面変わり、劇場前広場ーー
翼:やはりここにいたか、渡
渡:あ、翼…どうしたんだよ急に
翼:風間さんから仕事を受けた。お前の力を借りたい
渡:それってぇ…『能力』って意味?それとも『協力』って意味?
翼:両方だ。デビルズクラブっていうチームが、日本のどこかにいるらしい。
渡:つまりいずれは彼らと戦うことにもなるってことか
翼:そういうことだ。健吾は?
渡:さぁね。一緒にいたわけじゃないけど、あいつの行きそうなとこ行ったらいるんじゃない?
翼:行きそうなとこ…ボーリング場か
渡:それならここから遠くないぜ
翼:なら行こう。
ーー場面変わり、ボーリング場ーー
健吾:いよー!ストライーク!
渡:楽しそうだな。健吾
健吾:あーらら?ワタルちゃ〜ん
渡:力を貸してほしい。一緒に来てくれ
健吾:ちょっと待ってくれよ。今いいとこなんだからさぁ
渡:協力する気はないってか?力ずくでも連れてくぞ
健吾:ほーう?やるか?
渡:クッ…俺達が喧嘩しても仕方ねえだろ!それに翼も来てる。仕事の話だ。お前の力を見込んでの話だ
健吾:翼に言っとけ。兄貴ヅラすんなってな
翼:聞こえてるぞ
健吾:おやおや。天使様のお出ましか
翼:デビルズクラブ。そいつらを探すのが今回の仕事だ。能力者が相手だと、お前もこの仕事興味湧くだろ
健吾:相手も能力を持ってんのか?
翼:詳しくは分からないがそのようだ
健吾:ヘヘッ、いいねぇ。興味あるぜそれ
翼:なら話が早い
渡:決まりだな
健吾:行こうぜ
風間(N):こうして、飛翔の翼、力の渡、鎧の健吾の3人が集った。3人は、手当たり次第にもう1つの能力者集団“デビルズクラブ”についての情報収集を始めた。しかし、思うように情報は集まらない
ーー1時間後ーー
健吾:ハァ…これだけ探してもいねえのかよ
渡:手がかりなしか…
健吾:いったい、そんな奴らがどこにいるってんだよ。そりゃ聞いてもわかんねえって
渡:なぁ翼、一旦休憩しねえか?それか風間さんの所に戻るか?
翼:そうだな。風間さんの所に戻ろう。あの人、何か知ってるかもしれないからな。『探してほしい』としか聞いていないが、探す理由があるはずだ。
ーー場面変わり、風間の事務所ーー
風間:戻ったか。
翼:情報収集しましたけど、何もありませんよ。何か知ってるんじゃないんですか?
風間:重要な部分を話してなかったな。
渡:どういうことです?
風間:デビルズクラブのメンバーも、君達と同じように異種間遺伝子交配で生まれた存在だ。黒翼の悪魔 昴をはじめとする3人組だ。
健吾:じゃあ知ってたってことっすか?それで俺達に探せと?
風間:能力を悪用しているから探して捕まえろということだ!普通の人間からすりゃ異常な存在。警察がどうこうできるものではないのだ。
渡:それで俺らに探させて捕まえさせると。そういうことですよね
風間:あぁ。全員が共に行動しているのか、個別で行動しているのかは分からん。だが、必ず見つけろ
渡:了解
ーー場面変わり、大通りーー
渡:謎が多すぎるよ
健吾:まさか、俺達以外に実験で能力を得た奴らがいたとはな
風間(N):その時、翼の目の前を、全身黒で揃えた男が通り過ぎた
翼:あれは…
渡:翼?
翼:渡、健吾、収穫なしという訳ではないかもしれないぞ
健吾:ホントか!?
翼:あぁ。俺の勘が正しければな
翼(N):こうして、俺達“兄弟”と、デビルズクラブとの接触が始まるのだった。能力を持った新人類、力の使い方しだいでは、簡単に『天使』にでも『悪魔』にでもなれる。
これはまだ、物語の序章に過ぎない。楽しませてくれよ。昴
翼:ビースト・クロニクル 第1章 兄弟(Brothers) 終幕
To be continued