このメンツで勉強会なんて出来る訳が無い
前期中間テスト。成績にも影響を与える程の大イベントである。まぁ好きな人なんて居ないのだろうが、学生の本分は勉強なのだ。やっておいて損は無いし、達成感だって味わえる。学年別学力順位表に名前が載った日には優越感にだって浸ることが出来る。
だから私は頑張って勉強するのだ!
なんて、意気込んでいるといつもの流れに······。
「うふふふふっ。ここがマコト様のお部屋······。下着はここかぁぁぁ!!?」
「いい加減にしなさい!!」
-バシッ!
「あんっ! も、もっとぉ〜」
この駄天使め···。
中間テスト前-という事で、人外三人娘と私の家で勉強会をする···なんて企画が催された。何故だろう、全然嬉しくない······。
「マコト、消しゴム忘れちゃったみたい。貸してくれる?」
「あー、うん! いいよいいよっ」
私の隣で懸命に勉強しようとしている由来ちゃん。本当に彼女は可愛い。小さくて肌が白くて素直で···。今だって私に寄り添って楽しそう。
それに比べて······。
「ぬぁーハッハッハ! 大天使ミカエル! 今日が貴様の命日となろう! 我の使い魔、このホワイトダークゴールドシルバーレッドファングが貴様の羽根をむしり裂いてやる!」
こらこら大悪魔。私の人形を勝手に使い魔にするんじゃない。というか、結局それは何色なんだ。
「ふふふ。甘いですね大悪魔ルシファー。このわたくしの神大装備パンドラ・ティーン、略して······は野暮ですね。とにかくこれで攻撃全てを十倍にして返してあげますわ!」
「ぬぬぬっ。十倍······だと!?」
はぁ···。全然勉強する気ないじゃない······。
「って! それ私のパンツッ!!!?」
略して『パンティー』とか言うつもりだったろ!?
「こっ······こんのぉ·········」
私の怒りを察したのか、瑠宇さんと風亜ちゃんがピタリと動きを止めて震え始めた。
だがもう遅い。私はゆっくりと二人に歩み寄り、二人の頭を鷲掴んだ。
「勉強しないなら出ていけッ!!!」
-ズ・ド・ンッ!!!
「あっ-」
「はぅっ-」
まるで壊れた玩具のように二人は仰向けに倒れ込んだ。頭突きの制裁を加えた私は何事も無かったように由来ちゃんの隣に腰掛ける。私の癒しはやっぱり由来ちゃんだ。
「マコト、この問題分かる?」
「ん? どこどこ? ······って、あれ? な、なんだか目がぼやけて······-」
そして私は気を失った。うん、やはり悪魔と天使は強かった。
「あ、ごめんねマコト。さっき痛みが無いくらいの速さで吸血したからかも。美味しかったよっ。ありがと!」
って、あんたのせいかい······。いや、もういいよ。その素敵笑顔で許してあげる-。