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8.子供の頃の遊び

 時間があったら、あれをしてみたい……と思っていたことがそういえばまだあった。

 あれだ、一昨年かその前くらいに流行ったような気がする、アルミホイルを叩いて球にする奴。

 妹が挑戦していたが、私はその時はやってみなかったから暇があったらちょっとトントンしてみたい。

 他にも、昔懐かしいピカピカの泥団子を作る奴とかも心引かれる。子供の時に一度やった気がするがあの時はそんなにピカピカに仕上がらなかった気がするから、もう一度やってみたい。アルミホイルを無駄にしなくて良いからそっちの方が良いのかも。


 そんな風に、昔やった遊びをもう一度やってみたいなとふと思う。

 大人になったのだろうか、と思う瞬間というのは人生で幾度かあるように記憶しているが、大抵それは昔うまく出来なかった事が練習もしていないのに唐突にうまく出来るようになっていた時だったように思う。認識力が上がっていた事に気づいたとでもいうのだろうか。

 知らず重ねた色々な経験がいつの間にか編み目のように繋がり、ふと気づくとそれが自分を一段高いところに押し上げていた、というようなあの感じ。さすがにもう経験する事も少なくなったけれど、成長を実感する得がたい瞬間だったように思える。


 そうして色々な事をそれなりにうまくこなせるようになったからこそ、子供の頃にやった他愛のない遊びをもう一度やってみたいなぁと思うのだ。

 今やったらもっとうまく出来るだろうか? それともかえって下手になったりしているかもしれない。

 そんなことを考えながら、年甲斐なく泥を捏ねるのは楽しいんじゃないかと思う。昔陶芸教室も行ったことがあったが、泥を捏ねるのは幾つになってもとても気持ちが良いし。


 思い返してみれば子供の頃の一番のお気に入りの遊びは、外での泥遊びだった。

 庭を掘り返すと出てきた赤土を水で捏ね、小石を除き、それをプラスチックやブリキのお椀などに隙間なく詰めて、そっと型抜きをする。綺麗に抜けたらそこにその辺で摘んだ花を飾って、ケーキみたいにするのだ。別にそれでままごとをするとかではなく、いかに美しく角を出すかとか、しっかり小石を取り除いてできるだけなめらかな表面を作れるか、とかそう言う観点で楽しんでいた。職人か。


 今だったら沢山持っているセルクルやケーキの型で、ハイレベルなの作れちゃうんじゃない……? と一瞬心を動かされたが、あれは実際使用するのだから駄目だと思い直した。それをするなら専用に用意するべきだ。いやしないけど。

 でもやっぱりちょっと、いい歳して泥遊びがしたい。


 今度、休みの日にこっそりと庭でも掘り返してみようか。それともオーブン陶芸用の粘土を捏ねるくらいで我慢するべきか。

 昔懐かしい事を子供みたいにしてみたいという欲求との戦いは、週末まで続きそうだ。

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