3.国産レモンは色々楽しい。
そういえば、毎年春になると私は大量にレモンを買う。
隣の市に温室内で沢山のレモンの木を育てている観光農園があって、そこで一月から五月くらいまでレモン狩りが出来るのだ。
時期が早ければちょっと青みが残るけれど大きい実が採れるし、遅くなれば完熟の、酸味の和らいだレモンを買うことが出来る。時期によるが一つ百円から百五十円くらいなので、なるべく大きいものを探したりするのも楽しい。
そこに通うようになるまではネット通販でたまに買っていた。無農薬や減農薬の国産レモンは見た目が悪い物もあるが、安心して使えるのが助かるからだ。
沢山のレモンを前にすると、いつもまず何にしようかと悩む。もちろん、楽しい悩みだ。氷砂糖や蜂蜜で漬けてレモンシロップにしてもいい。氷砂糖だけでなくリカーなどのお酒を入れて、レモン酒にするのも美味しい。その際のお酒も、ホワイトリカー、ブランデー、ホワイトラムと、色々試してみた。今のところホワイトラムが一押しだ。
レモンシロップなら炭酸で割って飲むととても爽やかで夏に合いそう。でもきっと夏が来る前になくなるだろうから、夏には夏に作るために、レモンを輪切りにしたりして冷凍保存もしておきたい。
もちろん普通に料理に使うのもおすすめだ。
定番は、レモンを皮ごと小さく刻んで、かいわれやレタス、ツナなどと一緒に和えるツナサラダ。ツナ缶を油ごと入れるとレモンの酸味と相まってそれだけでドレッシングは必要ないくらい美味しい。好みで少し塩を入れる程度だ。
それからレモンクリームのパスタも美味しい。レモンの果汁を生クリームと合わせるととろりとするので、それをソースにして仕上げに削っておいたレモンの皮を散らした爽やかなパスタは量が多くてもペロリと食べられる。具はお好みで、春キャベツやベーコン、ほうれん草なんかを気分で使う。
母や妹によくせがまれるのはレモンゼリーとレモンドリズルケーキ。どちらも簡単で美味しい。
特にレモンドリズルケーキは、イギリスのお菓子らしい合理性と、それに見合わぬ美味しさが素晴らしい。材料を全部ボウルに入れて、ハンドミキサーで混ぜて焼くだけ! 焼き上がりの熱いうちにプスプスと穴を開けて、たっぷりのレモンアイシングを上からかける。ケーキが冷めて、アイシングが固まったら型から出して完成だ。
このケーキで一番面倒なところはバターを柔らかくしておくことか、型に紙を敷くところのどちらかだろうと思っている。興味がある方はぜひ検索して作ってみて欲しい。
さて、ここまで書いておいてなんだか主題がわからなくなってきたような気がするが、この話で言いたいことは、時間があったらレモン狩りなり通販なりで大量にレモンを手に入れ、一年……とまでは行かなくとも、半年分くらいの楽しみを備蓄したい! ということだ。
旬の果物は、旬のうちに沢山漬け込んだり冷凍したりしておきたい。
酒やシロップ、塩レモン。新鮮なうちに料理もして、それでも余ったら皮を削って細かくしたものを半個から一個分ずつラップに包んで冷凍すると、料理でもお菓子でも何でも使える。果汁を絞って密閉袋に入れて冷凍したり、実だけを薄切りにして冷凍してもいい。そういえば妹はレモンサワーのためにくし切りを大量生産していた。
旬の果実をたっぷり買い込んで、保存作業を一日ずっとしていたい。一日の終わりには、レモンの香りが洗ってもとれないほど手に染みこんで、ほどよい疲れと共に心地よく眠れるに違いない。