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2.燻製は時間がかかる

 時間がある時しか出来なくて、最近やってないもの。

それで二番目に頭に浮かんだのは、燻製、だった。

 燻製は昔よくやった私の趣味の一つだ。料理が趣味なので、その中の一部と言ってもいい。

 一番よく作ったのはベーコンで、一度に大量に仕込むのでそのために燻製器を買ったのだ。最初はホームセンターでもらった、障子紙用の細長い段ボールで自作していた。

 燻製は結構時間がかかる。時間がかからない物も沢山あるけれど、ベーコンなんかは時間がかかる。具体的には一週間くらいだろうか。

 私が作っていたレシピは、まず塩や香辛料で漬け込み、それを冷蔵庫に入れて毎日ひっくり返したり揉んだりして最低五日。それから四、五時間塩抜きし、半日乾かして、次の日に燻製……四時間くらいだっただろうか? 細かい数字は忘れたが、連休がないと燻製はできなかった。

 だから、もし時間があったら久しぶりにやりたいなぁと思っている。

 温度管理がしやすいので、今くらいの季節か、もう少し寒い頃がちょうどいい。

 冬なら寒い中でサーモンを燻製したりもできる。

 短時間で楽しみたいなら、卵やチーズがおすすめだ。家族にいまいち不評で残ってしまっている素炒りのミックスナッツなんかも、きっと面白い思う。


 ベーコンは、いつも買わないような塊の豚肉を買ってきて作る。肉屋へ行って大きいまま用意して貰う。

 よく洗って拭いて、それからフォークでブスブス刺すと手が痛くなる。なので大抵ここは家族に手伝わせることにしている。

 それから塩や香辛料をすり込んで、袋に入れて冷蔵庫へ。

 これを一日に一回上下を返すのだが、その時にはいつも軽く揉んで、美味しくなれ、と願いをかける。そうするとなんだか愛着がわいて、段々と可愛く思えてくる。これから待ち受けるさらなる面倒な行程が、待ち遠しくなるのだ。


 そうして一週間後、まずはよく洗って香辛料なんかを落としてから、流水で塩抜きだ。朝早くからたっぷりと時間を使って塩を抜く。一度染みこませた塩をわざわざ抜くなんて馬鹿らしいと少しだけ思うが、必要なのだから仕方ない。

 塩が抜けたら少し切って焼いて味見するのだが、妹はこの段階の塩豚状態の物が大好きで、ここで大体一塊の半分はその日の夜焼いて食べる用にと徴収されてしまう。なので最初に仕込む量はそれを見越して少し多めだ。


 塩抜きが終わったら次は乾燥。

 以前肉料理が得意で有名なシェフに会う機会があったのでアドバイスを求めたら、とにかく良く乾燥させろと言っていた。冷蔵庫で扇風機を当てて二日くらい乾燥させるのが理想だと言われて、無理、と思いつつ笑顔で頷いておいた。

 それ以来乾燥は長めにしている。それもあって、まだ寒い時期に作る方が良いと思っている。


 そして、次の日いよいよ燻製だ。ベーコンは温燻で、熱を加えながら燻製するのだが、この熱が高すぎると美味しくならない。低すぎると安全性に不安が残る。サーモスタットをセットして電熱器とつないでおくが、いまいち信頼性が薄いので、やはり時々見に行く必要がある。チップを足すのが面倒なので大体燻製用のバーを使うのだが、火が途中で消えたなんてこともあるから結構気を使うのだ。


 はっきり言って、大変に面倒くさい。趣味じゃなければ絶対やらないだろう。

 でも、その面倒くさいのを楽しむのが趣味だ。

 できあがった燻製は、市販のベーコンとは全然違う味がする。どんな味が好きなのかは個人の好みなので、何度も挑戦して好きな味を探していくのも楽しい。

 母は私の作るベーコンでチャーハンを作るのが好きだという。私はシンプルにベーコンエッグにしたり焼いてパンに挟んだり、ジャーマンポテトにするのが好きだ。甘い物はさほど食べない私だが、しょっぱい物は大好きなので積極的に料理に使う。

 沢山作って人にあげたり、出来た料理を振る舞うのもまた楽しい。


 時間がかかるけれど、やりがいのある趣味。

 時間があまりない今は、古くなった中華鍋なんかで作れる物を探して見るのも、次の楽しみかもしれない。

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