96/100
96.最良
きっとこれが最良の道
そう言い聞かせて生きている
こんなものが最良なのかと
日々嗤いながら
何もしないのを選んだ
それが一番楽だから
そうして流れ着いた先は
もうどうでもいい場所だった
なんの取り柄もなく
ただ静かに死ぬために
好きなことを手放してきた
未練になることを恐れた
くだらない人生だった
それが自分には似つかわしくて
どうしようもないけど
まだ何かに価値を求めている
そんなもの
ありはしないと
自分が一番よく知っているのに
ああ 確かに最良だ
自分に期待しなくて済む
いつ死んでも
誰も悲しまないだろうから
人から忘れられることが
自分にとっては最良なんだ