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88.放浪
ただ夜道を歩く
星が綺麗だと思う
冷たい空気が
とても心地よいと感じる
風の音を聞く
水の音を感じる
悴んだ指先
白く昇る吐息
やっと息を吹き返した
そんな気がした
疎外感しか感じない日常に
酷く消耗していたようだ
ザクザクと足音が響く
時折車が過ぎる
空は益々暗く
星が静かに瞬く
独りだと思った
それが好きだった
だけど本当は
誰かにいて欲しかった
現実だと近すぎる
知られすぎているから
だから電子の海に揺蕩い
安らげる場所を探す
どこに居ても迷子
だからこそお気楽に
深夜の散歩をするのだろう
居場所が欲しいような
欲しくないような
心を預けてしまえば
揺らいでしまうから
臆病な心は
矛盾を抱えたまま
ため息がひとつ
闇に溶けた