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72.最期の崖
もう先の知れた未来
手元の地図はあと数枚
振り返る道には
ぐちゃぐちゃに書きなぐり
汚れて捨てられた
地図が散らばる
俺にできるのはただ
それを懐かしく眺めるだけ
もうこれだけになってしまった
俺が選べる地図は
この道の行き着く先
終焉の迎え方だけ
それとは知らず投げ捨ててきた
星の数ほどの選択肢
いつか無くなると知らぬまま
切り捨てて見ないふりをした
今になって過去が苦い
脚に枷がついたように
思うように進めない
何も成さないことを
選んだのは俺なのに
あと何歩で
この道は終わるのだろう
最期の崖を覗き込んで
笑って飛べるだろうか
選ばなかった選択肢
気付かなかった選択肢
希望に満ちた地図はもう
1枚も残っていない
覗き込んだ奈落
光は見えない
これが、俺が
望んだ終焉か――