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70.居場所
黒い空に瞬く星
強く弱く光を湛え
月影に掻き消される
辺りを明るく照らす
満月でさえ
太陽には勝てない
何も無い俺の居場所など
何処にも無いのは道理
まして俺の周りには
月が、太陽が溢れているから
光を跳ね返そうと
足掻いた事もある
無理に繕うその形は
益々俺を歪にして
「俺」が分からなくなった
馬鹿で能天気なキャラも
もう上手く作れない
思うままに闇を散らして
「そんな奴とは思わなかった」と
罵られれば楽になれる?
ああ、でも、まだ
気遣ってくれる人がいるから
もう少し
あと少し
その人たちが離れていくまで
俺は「私」を演じなくてはね
大丈夫、まだやれるはず
ぶれるなよ、動じるなよ
頭の中を切り替えよう