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62.散策
昔からよく知っている
なのに
こんなにも知らない場所
ここは昔、遊んでいた公園
なのに
石段を登ればそこは
苔むした石畳も
葉の落ちた木も
吹き抜ける風さえも
まるで別世界のようだ
息を切らして登りきる
小高い丘の頂上で
ただ、空を眺めた
辺りに散らばる赤レンガに
蔦が枯れながら絡みつく
これだから寄り道は楽しい
知らない世界に紛れ込める
これだから散策はやめられない
次はどの路地に入ろうか
歩き疲れて火照った頬に
冷たい風が心地よい
頭を空に、心を晒して
束の間の休息を