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4.悔
言葉を持たぬ我が
一体何を言えただろうか
感情を棄てた我が
一体何を言えるだろうか
只 君の其の傷を抉り
爪を立て塩を塗り込んで
痛みをいや増すことしか出来ぬ
只 君の其の心を抉るしか
嗚呼、無力哉
否、害悪哉
善き友で在りたかった
我には過ぎたる願いであれど
善き友で、在りたかったのだ
切り棄てた物が今更惜しく
斬り捨てた過去を今更悔やむ
枯れた涙を零せたなら
君に伝わるのだろうか
此の心臓を抉り取り
我を差し出し、捧げたなら
名状し難い彼是を
名付ける術など疾うに無く
ならばいっそ其の闇を
移し取ってしまいたい
それで君が笑むのなら
棄てた筈の言葉を紡ぎたい
感情を手繰り寄せて
君の苦しみに寄り添いたい
嗚呼、我は本当に……
度し難い愚か者よ