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30.執着
執着すれば未練が遺る
深く想えば想うほど
終焉の時が怖くなる
元よりさして生きたくもない
その時が何時でもいいように
好きな物を手放して
感情を手放して
執着するほどの感情など
要らないものだと思っていた
終焉を
笑顔で迎えられなくなるから
もう先が知れている僕は
終わり方ばかり考える
穏やかに微笑んだ僕が
誰かの記憶に残れるように
そうしていつか
そこから密かに消えられるように
執着すれば未練が遺る
だから僕は少しずつ
執着を愛情に変えて
想いにそっと蓋をする
もう僕は
どう足掻いたって
誰かの特別にはなれないから