表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透明ヒーロー  作者: 今野 春
22/22

二十二話

ひっそりと世界を救ってからひと月が経った。


今思い出しても、なかなかいいことをした気分にはなれない。だが後悔もしていない。


きっとああするしかなかったんだろう。


そんなわけで、今日も今日とて俺は廊下を歩く三島理恵を追っている。


『それは犯罪じゃないのか?』

「殺し屋が今更何を言ってんだか」

『確かにな』


死神は、タコ男が消えたあとも尚俺の中に住んでいる。しかしそれはイレギュラーなのだ。


三島理恵の父、溶解液男は正気に戻ったのだから。


つまり、俺はおかしいということだ。


まあ、別に大したことではないし、こいつがいる方が安心するのだが。


「というか、俺のこれは花さんから頼まれてやってるんだからな?」


そう、これはただのストーカーではないのだ。


三島理恵の母、花さん直々のお願いだ。


「やっぱり、あの子を狙ってくる人っていうのはたくさんいるのよ。だから、守ってくれないかしら?」と。


ならばやるしかない。つまりこれは合法的ストーカー。ストーカーに合法もあってたまるか。


『まあもしもの時は俺に変われよ』

「わかってるよ」


俺には先頭の技術はないんだからな。


しかし気になるのが、偽理恵はどうなったのか、ということだ。


あの後猫の姿のまま去ってから、一度も目にしていない。


もしかしたらまだ落ち込んだままかもしれないし、途方に暮れてるかもしれないし、何か行動を起こしているのかもしれない。


それでも、きっといつかまた会うことになるだろう。そんな気がする。


そんなことを考えていると、ピリッとした気配を感じた。


「……来たな」

『だな。よーし、行こう』


俺は廊下の窓から校庭へ出る。いたのは巨大なムカデの姿。


「ここにいやがるなぁ、この世界の鍵が……」

「それはさせねぇよ」


のっそりと上げた顔を、ばすんと蹴り飛ばす。


反動を受けて仰け反るムカデ。死神は笑う。


「三島理恵は渡さないぞ。これは仕事だ。殺し屋のな」


……もうどっちが主人公なんだかわからないな。


だがそれでいい。みんな誰しも役割がある。


俺はシリアスには向いてないからなぁ……。


激しい戦闘の途中。ふと校舎の方を見た。


ーー三島理恵が、そっと窓から離れて行った。


その意味を、俺達はまだ知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ