二話
前回までのあらすじ!
透明人間になった! 形だけある! 可愛い黒髪の女の子助けた!
と、いうわけで。
「はい、こちらから中継です。現在……えー、女子更衣室への侵入を、一人の男が試みています」
こちとら聖職者じゃあるまいに。やっぱ? 危険に見合ったというか? やっぱ助けちゃったし? それなりの見返り……ねえ?
俺は今、その少女を追って都内のとある中学校の中にいるわけだが、もちろん不法侵入であり、『また電車も金の払い方って透明人間にどうしろと?!』となったので無賃乗車をした。立派な犯罪者である。
しかし! この能力を得た今! 一体何が、誰が俺を止めることができようか!
くくく……中学校は思わず「懐かしー」とか思いながら自然と入ってきちまったが、女子更衣室となるとやっぱハードルが上がるねぇ。
「さあ、行こうぜ。二十五年前、夢にまで見た光景を、男子中学生の花園を見る権利が、力が、俺にはある! さあ、やってしまえ俺! いざーー」
「保健の授業だから着替えはないんだってよー」
…………ほっ。
ーー ーー ーー ーー ーー
やっぱ俺にはハードルが高すぎたよ。エベレスト並は超えれないわ。
自分のチキンハートにうんざりしつつ、なぜか安堵している俺は、中学校の授業に参加中。
「えー、斜面にそう力というのは……なんだ?」
変な間のある、受けると眠たい授業をするタイプの中年の理科教師が、眠たそうな表情で問いかける。いや、あんたが一番眠そうやん。
しかし、合力か……。懐かしいな。
今は中学校始まって間もない一学期。おそらく、この受験生たちは二年生の最後にやった天気の科目に悩まされることになるだろう。ソースは俺。いや、学年またぐのほんとめんどいからな。
ちなみに、俺が助けた少女はというと。
「すぴー……」
悠長に熟睡しているわけですが。




