rain
深夜ラジオを聞いていた。
家にはテレビがなくラジオしかない。
若手芸人のラジオ番組が終わりチャンネルを変えた。
天気予報だ。
どうやらこの激しい雨はしばらく続くらしい。
ザザザザザー
雨音は激しさを増すばかり。
私はラジオを切りベッドへ横になる。
明日から夏休みだ。
ザザザザザー
起きると雨はまだやんでいない。
変な夢をみた。
全身が白くてぼやけている女性が私の隣で寝ていた。
おそらく私と同じくらいの年だろう。
私はこの女性をどこかで見たことがあるような気がした。
頭を撫でるとその子は起きてにこっと笑った。
そして外へ出ていく、私はそのあとをついていった。
ザザザザザー
外は雨が降っていた。
私と彼女は雨の中歩く、雨が降っているのに濡れなかった。
すると彼女は公園のベンチに座った。
私はその横に座る。
彼女は頭を私の肩にのせ微笑んでいるようだった。
私は夢から覚めると赤い傘をさして公園へ向かった。
当然ながら誰もいない。
公園の屋根がついているベンチに座りただぼんやりしていた。
「おーい」
声がした。声のする方を向くと高校時代の同級生がいた。
「あっ、やっぱり。美里じゃん。」
「ああ、久志。」
「久しぶりだな、高校卒業以来か。ここで何やってんの。」
私は昨日見た夢のことを話した。
「へー。誰だろうなそいつ。」
久志は隣に座った。
それから高校卒業から今まで何をしていたか話した。
私は近くの大学に通っていること、久志は高校卒業後デザイナーの学校に通っているようだ。
「そういえば、高校の時も美術部だっけ。」
「そう。デザインが好きだから。」
「そっか。」
ザザザザザー
雨はやむ気配を見せない。
「あー俺バイトの時間だ」
「もう、こんな時間か私も帰ろう」
久志と別れ家に戻る。
家に帰って昼御飯を作った。
それを自分で食べて資格の勉強をする。
簿記の資格を取る為最近はバイトを控えている。
後、1ヶ月もしたら試験だった。
日がくれてラジオをつけた。
声優のラジオ番組だった。
それを聞き流し模擬試験問題を解き答え合わせをする。
一段落するとラジオを消してベッドへ。
その時携帯に着信が入った。
メールだ。それは久志からのメールだった。
久志とメールアドレス交換していたのか。
私はメールを開いた。
「今週のどこかでご飯いかないか?」
私は「おけー」と返して携帯を閉じた。
ザザザザザー
雨は止まない。
その日も不思議な夢を見た。
昨日よりも幼い少女が私が寝ている上で跨がっていた。
少女はイタズラがばれたというような表情で笑った。
私は直ぐにその少女と昨日の女が同一人物だと気づいた。
私は起き上がり少女の頭を撫でた。
すると少女は私に抱きつき、照れたように笑った。
ザザザザザー
雨が降っていた。
朝起きると雨はまだ降っていた。
私の胸の辺りに温もりが残っている。
携帯のランプが点滅しておりメールが入っていることを知らせた。
久志からだ。
「ありがとう。土曜とかどう?18:30とか」
「おけー空いてる」
返信を返した。
パンを焼き朝食を取る。
朝食が終わると昨日の続きの模擬テストを始めた。
昼になり少し眠くなり仮眠を取った。
今度は赤ちゃんが現れた。
やはり白くてぼやけている。
私はその子を抱き上げあやした。するとスヤスヤと寝始めた。
そして、新たに別の人物が現れた。白くてぼやけている。男性だとは思う。何か話しかけている。でも、何かはわからない。
私が起きると雨は弱まっていた。
そこから、過去問、模擬テストを淡々とこなし
日がくれた。ラジオを付けると若手芸人の番組だった。
過去問と模擬テストの答え合わせを終わらせいつも通りに私は眠る。
また、不思議な夢をみた。
始めに見た私と同年代の女と今日のお昼に出てきた男だ。
相変わらず白くてぼやけている。
男と女は私のベッドの回りで泣いていた。
「泣かないで」
私は声を出した。
すると、二人は顔をあげて何か私に言っている。
何を言っているのか相変わらずわからない。
「ありがとう。」
私が声を出すと夢は終わった。
外は晴れていた。
その日から不思議な夢を見ることはなかった。
それから土曜日私は久志と食事に行き楽しい時間を過ごした。
その後久志は何回か食事に誘ってきたり、ドライブに誘ったりと交友を深めた。
私は大学を卒業すると地元の会社の事務職についた。
その頃は久志とはお付き合いしていた。
それから3年久志にプロポーズをしてもらい、結婚。
それから1年後には娘を授かった。
名前は美雨。
家族3人で過ごす日々は幸せだった。
娘は私と同じ大学にはいった。
娘とは姉妹のように仲がよく娘は私に甘えてきた。
その頃から私は頭痛に悩まされた。
それからしばらくして私は倒れた。
救急車を呼ぼうとスマホを取り出したが、途中で意識を失った。
私は不思議な夢を見ている。
白くてぼやけている人が私に何か話している。
前にも見たことがある。
一人は女の子、もう一人は男性。
二人とも泣いている。
私は声を出した。
「泣かないで」
二人は私の方を見た。
--あぁ、美雨だったのかあのときの赤ん坊、幼女、女性は。
「ありがとう」
私は声を出した。
ザザザザザー
外は雨が降っていた。