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日和、行っきまーす!


徹夜明けで調子こいて書いた婚約破棄の話が恐ろしくて読めない。…どうしよ……。


はい、次のお話でーす。

町までが…長い…







 とりあえず黙祷して、猪から降りた。

 しまった降りてから黙祷すれば良かった。

 猪の上でぐらぐらするのを我慢する必要なんて、無かったんだ。

 アホかな?アホだね。超納得。

 とりあえず返り血を分離してみる。

 わぁ…スキルって便利。綺麗に脱色できた。

 えーと、赤い血の塊の方はその辺に捨てるわけにも行かないし、姫香に入れてもらおうかな…。

 でもそのまんま入れるのも…容器欲しいけど、まあ贅沢は言えないか。

 それと今考えると、この猪撮影したところでネットにアップできないね、釣り扱いされる未来が見えるよ。…そもそも、ネットにアップして良いのかという問題もあるし。

 多分猪が来たことで若干現実逃避が入ってたんだと思う。次からは逃避しないよう気を付けねば。

 んー、と一旦伸びをしてから猪を見る。

 これだけ大きいと、血抜きするのも大変そうだ。

 血抜きが終わったら姫香に仕舞ってもらおう。



「この猪どうすんだよ…デカッ…」

「姫香よろしく!」

「っ!?これ入れるんですか?う~、気持ち悪い…」

「あぁ、待って先に血抜きだけでも!」



 危ねぇー!

 血抜きだけでもしておかないと劣化したときヤバい!

 何がヤバいのかは知らないけど。

 今度調べてみよう。

 腐るのかな?

 そもそも大体空間収納とかって時間停止機能あるけど、姫香が持っているのにその機能があるなんて保証はないからね。

 …数ヶ月放置した猪とか、見たくないんですが。血抜きしてもしなくても。

 明らかにヤバい。ゾンビみたいな状態になった猪を想像しちゃったよ~、モザイク処理しないとヤバい奴だね。

 おっと語彙力が。ヤバいって何回繰り返したっけ。



「血抜き…って、どうやるんだ?」

「こう、首のあたりを斬ってひっくり返す?」



 先程の攻撃?止め?で首は切られているので、付与で宙づりにしてみる。

 胃が、きりきりして痛い…。付与の副作用が重い。

 絶対カードそろえてやる。あと、身代わりに出来る物質も手に入れる。絶対にだ。

 <●> <●>カッ!

 さしあたってはミスリルとかオリハルコンとかヒヒイロカネだろうか。

 異世界最高!夢が広がる!



「宙に浮いたのだけれど…これ、貴方の?」

「あ、うん。私のスキルだよ」

「へぇ。…貴方、体調はどうなの?」

「あー、大丈夫。」

「そう」



 なら良いわ、と目線を猪へと向けた彼女は、何を考えているんだろうか。

 ドライな態度を取られている限り、信頼はされているんだろうけど。

 ため息をついて私も猪を見上げる。

 今になって、足が震え始めた。

 命を奪ったという実感がわいてきたのだろうか?









 …荒ぶる鷲のポーズ!

 ねぇねぇシリアスが来ると思った?来ると思った?

 残 念 、 来 な い ん だ な こ れ が 。

 確かに、命を奪った事に対する恐れはある。

 だけど、そのことは絶対に表には出さない。

 何でだろーね、変なところで意地でも張ってんのかな?

 自己防衛として、表面だけでも元気にしていたいというか。

 うわ考えてることが厨二くさい。

 厨二病を患った思春期の少年少女が考える事なんて特に意味は無い奴だからね、理解しなくとも無問題。



「…というか、これ血の匂いで他の動物が集まってこないのかしら?」

「「「あ」」」



 そういえばそっかー、動物って血の匂いに敏感だもんね。

 忘れてたZE☆

 …ヤバい(ヤバい)。

 地面に滴る血。私にも分かる強烈な血の匂い。

 …人生オワタ~…。

 あぁ、頭の中に曲が流れ出した。

 末期ですか?イエス、もう手遅れです。



「しょ、証拠隠滅ぅぅ!」

「姫香猪仕舞って!」

「は、はい、分かりました!」



 えっと、何か私に出来ること!

 んなもんあったけ??

 ハッ!消臭なら出来るぞ!

 匂い成分は上空に昇ってけー!

 結界に外に匂いが漏れ出ないよう防臭効果も付けとこ…猪も匂いがしたから来たのかな?

 なるほど納得…したくなかったなぁ。

 私は平和ボケ日本人だ。

 死ぬ死ぬ言ってても、命の危機とか全く真剣に考えてないんだとつくづく思う。

 戦闘慣れとかしていれば、きっと先に防臭したんだろうな。

 でも戦闘慣れしてる民族って…何?



「まあそれはともかく…消臭しておいたぞー」

「おお、ありがとう」

「地面にしみこんだ血はどうすれば…土を分離して血だけ収納とか出来る?」

「恭子さん、貴方は私に何を求めているんですか…」



 …だめだ、シリアス風に考えてるのがアホらしくなってきた。

 もういっそ考えるの止めよーぜ。

 まあ考えるのを止めたら狂人の仲間入りをすることになるんですが。

 私これでも結構常識人サイドだと思うんだけどなー。常識人ではないけど。



「ねーねー、私って常識あるよね?」

「…やけに唐突だな…無いだろ?」

「ありませんよね?」

「……まあ、普通は無いように見えるわね」

「マジか」



 え、私ってば常識無いの?

 いや、ある!多分あるよ、常識!

 ただそれを理解した上で奇行をしているので常識が無いように見えているというか何というか。

 ある意味変人の皮を被った常識人と言えなくも…言え…無理だな変人だった。

 表も裏もなく変人です、テヘペロ☆

 テヘペロ、テヘペロ…あれ?ゲシュタルト崩壊してきたぞ?あれ?あれあれ~?

 落ち着け、一回頭を空にするんだ。

 …ってか最初何考えてたっけ。


 ………。


 そういえば恭子の言い方にやたらと含みがあったけど、何が言いたかったんだろう。

 ぽやーっと見つめていると、恭子は徐に手を叩き、注目を自分に集めた。



「さて、猪の件も恐らく一段落したと思われるけれど、これからどうするの?」

「異世界に来たら異世界の文化に触れるのがラノベの王道ですよ。」

「スローライフでも冒険譚でも異世界の町には行くよね。」



 というわけで行きたいです。

 異世界、町、魔法!あと時々チートとかスローライフとか。あ、ギルドも!

 私自身は俺TUEEEEEEE系主人公ではないけれど、周りはそうだからね。

 ぜひとも私、というか周りTUEEEEEEEがしてみたい。

 それに何の意味があるかって?

 自己満足さ!

 ところで俺TUEEEEとかのEって、いくつ付けるんだろう?



「要するに町に行きたいと?」

「王都は駄目です! フラグが立ちます!」

「はいはいはい! ギルド行きたい!」

「ぎ、ギルド…?」

「冒険者組合、みたいな…冒険者っていうのは、ラノベによく出てくる魔物を倒したり、僻地にある物を採集したりする職業だよ。詳しい設定はラノベによって違うけれど。」

「ふーん…わかんない!」

「こらこらこら」



 さわやかな笑顔で堂々と思考放棄宣言をかましたぞ此奴。

 えー、知らないと困るんだけどな。

 まあ、一緒にいれば何とかできる…かもしれない。

 でもアドリブは難しいんだよなぁ。

 …多分何とかなるさ!

 その場のノリだけで生きていきたい。無理だけど。



「でも確かに、王都は却下だ。何故ならフラグ乱立都市だから。」

「同意ですね。あと、ギルドでのテンプレは外せません。」

「わかる。魔力測定の奴とか壊して欲しいわぁ」

「え、自分で壊さないのですか?」

「凄くロマンがあるけど、無理な気がする。私は魔法使いじゃなくてオールラウンダー目指すから」

「そちらの方が難しいのでは?」

「付与のカードさえ作ればこっちのもんよ。」

「なるほど」



 あー、早く大量生産したいけど体調が…!

 金属とかで身代わり出来ないかな?

 ミスリルとかオリハルコンなら凄い強度で、付与の負荷にも耐えられる気がするんだ。

 というか、一度その辺の木の棒とかで試してみるべき?

 うん、そうだなそうしよう。

 丁度良い木の棒はあるかな…出来れば太めで大きい奴が良いんだけど。

 ほら、登山の途中とかで拾って杖代わりに出来るような奴。



「ちょっと思いついたから、実験してくる!」

「分かりました」

「ねえ恭子、私二人が何言ってるか分からないんだが」

「大丈夫、私もよ」



 聞こえているんだが、あえて聞かない振りをする…それも優しさ!完全に使い所間違ってるとかは言っちゃいけない、私との約束だ。

 あ、かなり大きめの枝発見!

 ふむふむ、ここに付与をしてみよう。

 どうしよっかな、『身代わり』とかで良いんだろうか?

 じゃあ、付与をして…発動させ、ん?

 発動した途端に枝の先端にピキリと小さいヒビが入る。

 これは、『身代わり』の効果を発揮したということだね?

 事前に受けたモノでも身がわりしてくれるのか…便利だな。

 これは負荷を肩代わりしているイメージでやっているし、私の体にかかった負荷を枝に写しているんだろうけど…怪我だとどうなるんだろう?

 負荷なら人体だと体調が悪くなる、物だとヒビが入ったりする。ならば怪我ではどのような反応になるのか。

 いや、身代わり出来るのは物には限らない。人の怪我の、身代わりが出来る?

 …ヤバいな、この力。

 危なすぎる。

 なんつー力をほいほい渡してるんだよ、神様。いるのか知らんけどな。

 これ、使い所間違ったら……うん、考えないことにしよう。

 選択肢を間違えてはいけないなら、そもそも選択肢を表示させない。それが私!

 というわけで、そういうピンチになりそうなフラグはことごとく折っていくことにしよう。

 頑張れ私、めげるな私!

 ……あー、町行きたい。

 もう町に行くこと自体がフラグ建設みたいなもんだけど行きたい。

 異世界物のロマンスなんだもん。

 町に行かない異世界物って何?スローライフ系?でも、それだって大概町は出てくるじゃん。

 頭の中がぐるぐる、混乱して参りました。

 …掌サイズの丁度良い石を発見。身代わり!

 これさー、わざと身代わり付与して周り粉々にするとかもあり?指ぱっちんで一斉に粉々に…。

 何それめっちゃ良いやん。

 指ぱっちんの練習しよう。

 ええ、実は私指が鳴らせないのです。

 真面目に練習しよう。

 とかいって三日坊主なんだけどね、大体。

 あー!それより、町!



「町行こう! 空から見れば町がどこだか分かると思うの。」

「急だな…まあ、良いんじゃないか? よくわからないけど!」

「胸を張らないで下さい」



 では…そこの大きめの岩を身代わりにセッティングします!

 脳内でてれってってってって♪って流れ始めたので、このまま某料理番組の如く進めてい

こう。

 はーい、まずは下準備として片手で持ち上げられるくらいの岩を『身代わり』に設定します!

 設定したら、ポーチに『拡張』の効果を付けます!これでカードが大量にしまえるようになりました。

 次に岩が粉々になるまで美優に出してもらった金属製・・・のカードに『飛翔』とか『浮遊』とか付けまくります!

 そして、『探知』と併用して発動すれば、偵察モード完成!



「では、日和、行っきまーす!」

「気を付けてなー」

「行ってらっしゃいませー」

「……日が暮れるまでには帰ってきなさいよ」

「オカンがいる!」



 恭子のオカン化に恐れおののきつつ、出発。

 絶対あれ、怖い系のオカンやで。


 まあ、ちょっくら町の場所を確認してくるだけだし。行ってきまーす。





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