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邪眼使用時は決して他の人を見ないでください

投稿遅れてすいませんでした。

少しリアルが忙しかったので…(遠い目)

本当に申し訳ありませんでしたァァァァァァ!!!

日和「うるさい」

ごめんなさい!







 問題です。

 家の前に猪のような動物がいます。

 面倒くさいので猪と表記します。

 猪はこちらに突進してこようとしていますが、結界に阻まれて出来ない様子。

 結界は強く、壊れる気配はありません。

 さて、どうしますか?



 うん、とりあえず写真撮ろう。

 やっぱ動画の方が良いか。

 こんな未確認生物放っておくわけにはいかんでしょう。

 カメラは何処だぁぁぁ!

 あ、スマホある。

 よーし、これで撮影しちゃうぞー☆

 確かリュックの中に…うわ、奥の方入り込んでる。

 座って取りたいけど、土が付くとかそういうの以前に猪の前で座る気がしない…。

 この場面で座るやつはよほど自分の腕に自信があるか、ただのBAKAだ。馬鹿は馬鹿でもローマ字のBAKAだ。



「え、何してるの?」

「え、ここは戦闘じゃないんですか?」

「え? 戦闘?」

「ん?」



 UMAがいたら撮影するのが基本では?

 とりあえず命の危機はないみたいだし、こんなの撮影して動画サイトに流したら面白そうだと思ったんだけど。

 ここでそう言ったら「この阿呆!」って怒鳴られそうなんで、無かったことにしよう。

 手に掴んだスマホをそっとしまい込み、リュックを背負いなおして、ウエストポーチからカード(予備)を取り出す。

 いやー、カードはリュックじゃなくてウエストポーチだったよ。間違えちゃったテヘペロ。

 そんな感じです。

 決して、決してUMA撮影のためスマホを取ろうとしていたのではないのですよ…!



「あ、結局そっちだったんだ」

「この…結界ですか? が無ければ、被害にあっていたことはほぼ間違いないはず。つまり、倒しても正当防衛ですよ! 多分!」

「大きいわね…」



 …倒して良いものなの、これ。

 あと、美優よ騙されてくれてありがとう。でも少し君の将来が不安だぜ。

 とりあえず、しゃこーん。すぱっ!おええええ…キュア……ふぅ…。

 擬音語で表現すると意味不明だな。

 ざっくり言うと、新しく『鑑定』のカードを作りましたー!

 わー。

 ぱちぱち。

 表示されるのは、個体名、種族名、年齢、能力、状態異常。

 能力は…正直適当である。一杯表示されても処理しきれないし。

 一応、念のため、というやつである。

 状態異常については、この猪、やたらと鼻息荒いし目が血走ってるから、もしかしたら狂戦士バーサーカー状態なのかな…と思ったんだよね。

 状態異常『混乱』『狂乱』『錯乱』『凶暴化』とかかかってそう。

 え、ゲーム脳?

 あーあーあー。聞こえなーい。

 そしてまた出現するウィンドウ。

 そう、ゲーム好きに優しい設計である。

 自分に優しいのでは、という質問にはコメント拒否で。




個体名 無し

種族名 フォレストボアー

年齢  2

能力  突進 突き上げ 噛みつき 毒牙 回避 咆哮 魔力撹乱 炎熱耐性

状態異常 興奮




 ん?

 んんん?

 色々突っ込みたいが、まず。

 フォレストボアー…森猪…。

 名前付けたの誰だよ…そのまんまにも程があるだろ。

 しかも二歳。猪くらいの動物が成獣になるのは一歳とかそんくらいなはず。

 猪ってこんな大きいんですか…。

 赤ちゃんの頃はどれだけ大きかったんだよ。

 とりあえず、能力をメモっておこうか。

 付与で使えるかもしれない。

 メモ帳とペンはいつもさっと取り出せるところに常備してある。例えばウエストポーチとか。

 一応こんなのでも趣味で本を書いている身なんでね。

 アイデアを書き留めるためにも、ノートとメモとペンは手放せない。

 ………よし。この中で利用できそうなのは突進と回避、咆哮、魔力撹乱、炎熱耐性かな。あと噛みつきも行けそう。

 メモとペンは仕舞ってと。

 あ、ついでにカードもありったけ出しておこう。

 主に回復手段ばっかだけど。攻撃手段、毒と真空刃しかない…。

 いや、ここから増やせば良いんだよ…めっちゃ気分悪くなるけど。

 やっぱめんどい。やりたくない。

 あとさー、状態異常『興奮』って何?

 何に興奮してんだよ。

 発情期ですかこのヤロー。

 いや、冷静に考えると発情期は冬だった、はず。

 なんか、何処かで見たんだよね。

 十二月くらいに発情期で、春に出産だって。

 間違ってたらスマソ。

 


「……この猪、状態異常『興奮』になってる」

「…発情期ですかこのヤロー。」

「それwww私も思ったwwwwwだがしかし発情期は冬だ。多分。」

「突然の真顔マジレスに姫香びっくり」

「はいはい、茶番はしゅーりょー。猪どうするの?」

「んー。なんで興奮してるんだろうね。見慣れない奴らが入ってきたからかな?」



 むしろ、それなら状態異常『怒り』かなぁ?

 それで猪が怒るのかどうかは知らないけど。

 ほら、人間だって自分の家に知らない人がいたらばりっばりに警戒するじゃん。

 あ、違うか。

 この場合だと家の中に知らない動物が入ってきてる感じかな。

 まあ警戒するよね。

 警戒しないような動物っているのかな?

 うーむ。例えそれが虫だとしても、余程の虫好きか肝が据わってる奴じゃ無い限り驚くよな。多分。



「で、どーします?」

「そうね…無視も出来ないし」

「た、倒すのか?」

「でもさ、よく考えてみてよ。恐らく、私達は今相手の家を土足で踏み荒らしてる状態なんだぜ?」

「まぁそれもそうよね」



 つまり、この場合悪いのは私達だ。決して正当防衛ではない。

 言うなれば、これは生活圏が被ったことによる争い。要するに縄張り争いだ。

 まぁ、そんな大層なものでも無いけど。

 生きるために殺す。られる前にる。

 まあ、そんな単純なことですよ。



「うし、戦うか?」

「えっ。」

「はぁ!? 戦うのか!?」

「あんな事言っておいて戦うんですか? まあ、日和さんらしいですけど。」

「ちょい待ち。姫香、どういう意味だそれは。」

「だって、ああいうことを言ったら、なんとか宥めて帰すフラグじゃないですか。」



 あー。

 なるほど。

 確かにそういう系の台詞あるね。

 悪いのは僕らだから、殺してはいけないとか。

 で?

 それがどうしたって言うの?

 悪いのは僕ら?

 ほへー。そーなんだー。

 殺さなきゃ殺されるような状態でそんな事言ってられるなら凄いと思う。

 どろっどろに甘いのに、しっかり自分の信念を貫けるのはすごい。

 あ、でもやらなきゃやられると言うことを理解してなかったり、そんな環境じゃないのにそう言ってる奴等はとんだ甘ちゃんだ。

 じゃあ、君達は誰かに殺されても良いの?

 と問いたくなる。

 まぁ、この考えはあくまで私個人の見解だ。

 不快に思う人がいるなら謝ろう。

 正義漢を貫くなら、それはそれで良いんじゃないかな。


 私は違うけど。


 私は正義漢じゃないし、主人公みたいに性根がまっすぐではない。

 コイントス、裏か表かと問われて「横」と言うような奴だ。

 阿呆であり、馬鹿であり、自分が平和な現代っ子であることなぞ百も承知。

 あ、すまんやっぱ確証無いから五十くらいにしといて。五十も承知…うわ、一気に微妙感増した。



「私はモブだから。そんな主人公みたいな選択が出来るわけないじゃん。」



 主人公らしい君達なら選択できるんじゃない?

 殺される覚悟があれば、だけど。


 その問いに、恭子はこちらへ鋭い視線をよこし、美優は青ざめ猪を振り仰ぐ。

 そして姫香は…どん引きしていた。

 えっ?

 何かそんなに可笑しいこと言った?



「貴方、それでまだ自分はモブ枠だと思っているんですか? どう見てもドライ系、冷徹系主人公行けますよ。」

「行けないよ」



 そこかよ!私結構、脅すつもりでさっきの台詞言ったんだけど!

 えー。折角の異世界だから甘さを削ごうと思ったのに。

 主に美優の。

 まあ、恭子はかなりドライだし、姫香も姫香で結構ネジはずれてるからな。

 それで良いのか令嬢と思わなくもない。

 どうしてオタク方面にネジが外れるの。

 あと、私は主人公じゃない!



「ほら、よくある主人公のトラウマ編とかないじゃん。自分でも普通の家庭環境なのにいつの間にかこんな性格になってて吃驚だよ。こんな驚きは求めていなかったんだがな。」

「またネタ?」

「刀の付喪神のゲームですね。あと、日和さんならオタク系主人公も行けますよ。」

「はいはい、話が脱線してるわよー。今はあの猪をどうにかする方が先じゃないかしら」

「「あ」」

「えっ。忘れてたのか?」



 し、しまった!完全に忘れてたぜ!

 チラッと見ると、当の猪は突進は止めたようだが何故か結界の周りをうろうろしている。

 え、何してんのあれ。

 結界の切れ目でも探してんの?怖ッ!

 早いとこ倒すかお帰り願おう。

 でも、帰すのはなー。結界が切れた瞬間に襲われたらそれはそれで大変だし。

 二歳なら、成獣だから生態系に影響が出ないと…思いたいでござる。

 果たして異世界に環境保護の概念はあるのか。

 選択肢には何がある?

 一、殺す

 二、帰す

 個人的には一にしたい。

 だって一番安全そう…だと、思う…。

 二歳か、此奴の縄張りが空いたらまた新しいのが入ってくる…とかは嫌なんだけど。



「はい、で結局殺すの? 帰すの?」

「私は…そうね、周辺に似たような猪が数匹でもいたら殺して良いと思うわ」

「えぇー…怖いからやだ」

「私は別にどちらでも構わないですよ」

「私は…そうだな、殺しても良いと思う」



 特に森林を破壊しているわけではない、ハズ(空間収納で引っこ抜いた木?ははは、何のことでしょう?)

 そ、それに…ほら、猪って食べられるじゃん。無駄に殺すわけじゃないしぃ…チラッ。

 とりあえず血抜きして姫香の収納に放り込んでおけば何とかなる、と思われる。



「じゃあ、倒しますかー!姫香、猪の収納よろしく」

「えっ…仕方ないですね」



 ものすごく嫌そうな顔された。そんな顔するなよう。多分ムカデとか這い寄る混沌とか入れるほうが怖いから。

 あ、そういえば今日這い寄る混沌が出てくる夢見たな。あれは悪夢だった…く、一匹しかいないのに阿鼻叫喚だったよ…。

 よりにも寄ってあいつの夢見るとか、ほんとついてないわー。

 って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。

 え、えーと。

 頸動脈切れば死ぬかな!?



「んー、殴る?」

「殴る!?」

「私は特には思いつかないな。邪眼ってなんだよ。」



 邪眼。ぱっと思いつくのはやっぱ麻痺かな?



「麻痺?なんで?」

「いや、ゲームとかであるから…」

「あったかな、そんなスキル。…どうやってやるんだ?ん?うわっ!?な、え!?」



 美優が勝手にワーワー言い始めた…私視点、何が起こってるのか全く分からない。

 目に手を当ててる?邪眼発動した?

 って、こっち見んな。

 いや、見ないでください。

 ぎゃー!!痺れる!

 今のお前邪眼発動してんだよぉー!

 あ、やば…ちょ、倒れる!ぐえっ。

 いだい。

 鼻を地面に思い切りぶつけた。

 カードも発動できないみたいだし、泣くぞ。

 泣いてやる。



「えええ!?なんで!?」

「美優、邪眼発動してます!そのまま猪見てください!」

「えっ」

「なんでこっち見るんですかぁ!?」



 おや、姫香も見られたのか。地面に伏せたまんまだからなんも見えない。

 あ、今ドサッて音が…倒れこんだか。

 あー、視線外れたからかちょっと痺れが取れてきたかも。

 状態異常解除…っと。

 わあ、猪が倒れてる。

 見に行く前に、姫香の状態異常を直していこう。

 う、お腹痛くなってきた。キュア!

 あれだなー、状態異常回復できるカード作ったほうがいいかも。

 これからも巻き込み事故起こりそうだし。

 用心するに越したことはない。

 邪眼って無差別に効果を発揮するんだね…ゲームではわかんなかった新常識だよ…。

 そういや主人公や仲間が邪眼持ってるラノベとかはあんまり見かけないし、こんな無差別に効果を発揮するなんて聞いてない。

 聞いてないよ(半ギレ)!!!



「邪眼使用時は決して他の人を見ないでください…」

「了解…」



 そうだね、それがいいよ。

 でもこれって焦点があったら効果発動、でいいのかな?

 恭子と姫香は近い位置にいたけど、恭子は倒れてないし。

 ものすごく研究したい。



「…ひ、日和の目が怖い…」

「大丈夫、怖くないヨー」

「ひぃぃぃぃ!!」



 …あれ?

 逃げられた。おかしい、無害アピールをしたつもりだったのだが。

 やはり、ここは「怖くない、怖くないよ」だったか?

 じり…じり…と近づいてみる。



「いや、じりじり近づかれても…」

「チッ」

「舌打ち!?」



 実験したかったのに。

 って、話脱線しすぎぃ!

 猪は!?

 あ、よかったまだ倒れてる…。

 今のうちに倒しておくか。

 ……やれる、か?

 大丈夫、大丈夫。

 怖くない。

 あああ、やばい。

 何のかんの言ってても私は現代っ子だ。そりゃ、殺すのに抵抗あるよね。

 でも、ここは逃げない。

 絶対、逃げない。

 猪の腹の上によじ登る。

 めっちゃうごうごしてるー!

 や、やだ何これ気持ち悪い!

 ひいいいい!



 ドシュッ



 …え。

 ぎゃあーーー!?

 いつの間にかカッター発動してる!?

 はっ。あれか、さっき目を閉じて体に力入れたときか!!

 う、うえ…返り血臭い。

 あー、うー、特に罪悪感はない、かな…。

 意外だ。

 こういうのって罪悪感にうなされるというのがよくある話なのでは?

 実感がわいてないだけかもしれないし、油断は禁物だね。

 猪さん、ごめんね。

 黙祷!








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