Oh,yes!私がやりました。
二月八日 第四話まで修正
「えっと…ね、大丈夫だよ!」
「……」
「大丈夫大丈夫!人生、楽しんだもの勝ちだよ!」
「……はぁ」
あれっ?
一生懸命宥めたはずなのに溜め息つかれたでござる。
ぬぁぜだ。
やはり私には難易度が高かったようである。
さぁ、恭子!
君の出番だー!
チラッ。
チラチラッ。
じー。
あ、来てくれた。
ここに座ってくだしあ!
座ってくれた!
よしっ(ガッツポーズ)。
それじゃあ私は出来るだけ気配を殺して様子を見ていよう。視界から消えるたび一瞬探されたり、「気配濃くして」と親に言われた私を舐めるなよ!
…自分で行ってて悲しくなってきた。
気配濃くするとか何すりゃ良いの。
「貴方、能力が怖いの?」
「……うん」
「気持ち悪い?」
「……うん」
「私もそうよ。怪力だなんて、おちおち握手も出来そうに無いし。」
「……」
突然のシリアスな空気…。
この家…新築だからか埃無いなー。
木の香りが凄いする。
強烈すぎてちょっと気持ち悪い。
もしかして、美優ってば木の香り好きな人?
木の香りイメージしないとこんな事にはならないと思っ…うげぇ。
あー…埃全く落ちてないな…木の香り強烈ぅ…。
「別に、使いたくないなら元の世界に戻れば良いのよ。止めはしないわ」
「……ぁあ!」
「明確で簡単で、一瞬で終わる逃げ道があるんだから。」
ところでシリアスな空気って、叫び出したくなりませんか。
なりません?
そうですか。
私はなります。
今もめっちゃ「うぇーい!」って叫びたい。
シリアスな空気は苦手だから、わざとブレイクしようとして叫んでたら癖になった。
でも、明らかに今はシリアスブレイクしちゃ駄目な感じなんだよねー。
…逃げたい。
あ、そうだ恭子も言ってるじゃん!
逃げ道あったわ(笑)
「お茶、じゃない水持ってくるね☆」
ははははは、これで堂々と逃げ出せるぞ!
ぃやったー!
私ってば天災!
間違えた、天才!
台所は…こっちか。
ふはははは! 私の策略に恐れおののくが良い!
「逃げたわね。どうやって水を持ってくる気なのか…」
「…逃げ道があるなら、大丈夫…かな?」
「そうね。正直、私も能力とやらは気持ち悪いと思うわ。でも、戻る手段があるなら別に良いんじゃないかしら」
「うん。そう、だね」
「シリアスな会話は終わりましたか?」
「「姫香いたの!?」」
「いましたよ最初から!」
「…いたっけ」
「…そうかしら…」
「わ、私…そんなに存在感無いんですか…?」
「「うん」」
「うぬぬ…」
「…ふふ、くくく…日和の方が薄いわよ」
「あー、わかる」
「もう、からかわないで下さいよ。でもまあ確かに、一瞬探しますよね」
とりあえず、コップが無かったんで水を浮かせることにした。
ぷかぷか。
ぐにー。
うにょーん。
果ては何とか、玉すだれ!
ちなみに意味は知らない。
かなり自在に動くねー。
これ、私は『浮遊』って効果しか付与してないんだけど自在に動かせるみたい。
夏場とか、こんな感じで何時でも冷やした水が手に入ると良いんだけど。
流石に地球じゃ無理なんだよな。
夏場と言えば、こっちも地球とおんなじくらいの暑さなんだよね。
「あら、日和さん。終わったようですよ」
「おー?」
「次は、皆で話し合いをしたいのですが」
「おけおけ。任せてよ!」
私を誰だと思ってるのさ。
オタク歴は君より長いし、知識も無駄にある。
無駄に、な!
まあ、任せなさいって!
多分、主人公の補佐役の脇役くらいの地位には立てる…と、思うから!
多分!
「ところで、その水は…」
「んー?なんか、動かせるみたいだから動かしてた。へい、お待ち!」
「なんだそれ」
「…また変なものを…」
ふっふっふ、この水は二つに割っても三つに割っても、効果が消えること無く動くのだ!
もしや、水の分子自体に付与がかかってるのかな?
つまり、空気中の酸素に付与をかけ、浮遊させてそこの空気を一時的に酸欠状態に陥らせれば…いや、これ以上は後で考えよう。
「それでは、ダイニングに移動しましょう」
「わかった」
「りょーかーい」
「わかったわ」
あ、ところで皆お水いる?
これさー、実はどうやって飲むか考えてなかったんだよね。
…小分けにして口に放り込んでみようかな?
放り込む瞬間に付与を解くか。
えいっ。
むぐ。
げっほ、げほげほごっはぁ!
む、むせた…めっちゃ飲みにくい…。
の、喉が…。
「はい、そこの変人は無視しますよ。」
「異議無し…」
「異議無しよ」
酷いww仲間からこんな仕打ちされた日にゃ、草生やすしかないぢゃんwwww
愛情の反対は無関心なんだぞー?
おねーちゃん寂し…あ、そんなに寂しくもなかった。
昔一人でいたせいだね。断じてぼっちではない。
例えぼっちだとしても今の私はぼっちじゃない、はず。
いやまあぼっちと言われて傷付くような繊細な心はありませんが。
「私達がどうしてここに来たとかは全く分かっていませんが、とりあえず誰が何のためになどは考えてもキリがないから置いておきます。」
「わかったわ」
「うん、まあそうだな。」
「問題は、異世界と地球の時間のズレです。もしこちらの方が遅ければ神隠し状態ですし、早ければ老化が進む可能性があります。」
「…あぁ、なるほど」
「さっぱり分かんない!」
なるほどなー。
遅ければ気付かない内に地球側での時間が進みすぎているかもしれない。
早ければ老化が早くなる。
うん、これ付与で何とか出来れば良いんだけど…やっぱり自然の法則に逆らうから、絶対負荷が大きい気がする。無理ぽ\(^o^)/
それにさ、問題はそれだけじゃないんだよ。
「もし、転移に条件や回数制限、失敗があれば、もうここには来ない方が良いとおも…ん?」
視界の上の方からひらひら降りてくる紙。
おい。
誰が出してんだよ、これ。
「『ごめんごめん、言うの忘れてたー☆
転移に回数制限とか、これと言った条件、失敗はないよ。失敗したら何も起こらないだけだしー。
あと、老化防止ね!設定しておいたから大丈夫!いやー、うっかりしてたよ。私としたことが。
んじゃ、異世界楽しんでねー☆』」
「「「……えぇー…」」」
わかる、わかるぞよくわかる。
こいつ…私と話が合いそうだ!
同類(変人)の気配を察知した!
めっちゃ怪しいし胡散臭いけど、話はしたい。
…分かってるよ?
うん、めっちゃ怪しいから引いてるんだよね。阿呆の振りしただけだよ?擬態だよ?
ほんとに話はしたいけど。
でも、この紙に書いてあるのをそのまま信用するのもなー。
……ん?
あ、皆の体に付与がかかってる。効果は…わっかんね。
だってそこまで高性能な勘は勘じゃないと思う。
だ、断じて私がポンコツな訳ではないはずだ!
なーのーでー、えい、キュア!ふぅ…じゃじゃーん!『探知』作成!
これで効果も分かる、はず!
むしろ鑑定の方が良かった気もするけど、気にしちゃいかん。
空中にゲームのようなウィンドウ出現。
能力…ほえー、これも映るんだね。
って、んん?『不老』…えええ!?マジか、仕事早いな。
だがしかし、これらが全て幻という可能性すらあるのだ。
これで信用するのはまだ早い。
でもまー、疑ってばかりじゃ楽しくないんだよね。
やっぱり人生は楽しく生きてこそだと思う。
というわけで、決めました!
私この人の言ってること信じて、楽しく暮らそうと思う。
「私、異世界を楽しむから!」
「はぁ!?」
「ちゃんと不老って効果付けてくれたしー。もしこれが嘘だとしても構わない。私は、異世界を、謳歌する!」
楽しくなかったらすぐ帰るけど。
よーし、そうと決まったら早速準備だ!
この手のラノベは、町に行くのがテンプレだからね!
そしてそこで無双する。
ふっふっふ…楽しみだな!
カードの数を増やさないと…ん?
カード増やさなくても、こうやって生き物に直接付与できるなら別に自分自身にかければ良くね?
なら、カードはカモフラージュにして…。
『はぁ、はぁ…もうカードは無い!お前の負けだ!』
『いつから…』
『は?』
『いつから私がカードが無ければ無力だと錯覚していた?』
『なっ!カードが無くても魔法が使えるのかよ!?』
『ご名答。褒美に、痛みを感じないよう屠ってやろう…』
あぁぁああぁぁぁ、良い!
この中二心をくすぐる感じ!
あ、でも多分、ほんとには殺さないかなー。
いや、相手に殺意が無かったら…だよ?
殺意もって向かってきたら全力で抗戦する。
私、名も知らぬ他人のために命を投げ捨てる気は無いんで。
身近な人だったら…その時考えよう!
現実から目を逸らす。人はそれを、現実逃避と呼ぶ。
「はぁ?どういうことなの?」
「…現実逃避、なう…へっ?あ、さっきの説明ね。今、私の能力とやらで本当に老化対策がされてるか、見てみたんだよ。」
「へえー。便利だね。で?」
「……鑑定ですか」
「うわ吃驚した!」
「わざとですよね?気付いてましたよね?」
哀れ、姫香…なーむー。
両手をパァン!と合わせて南無阿弥陀仏と唱えた。
姫香にはたかれた。
むぅぅうう。
「はい、説明をどうぞ」
「不服なりー。ちゃんと『不老』って効果が付与されたましタンゴ。話は変わるけど、マジ卍ってどういう意味なんだろうね。何回聞いても頭からすっぽ抜けるんだけど。」
「不老ですか。大層な言葉ですね」
「そうね。ちゃんと効果があるのか心配になるわ。別になくても気にしないけど」
「気にしろよ。あと、マジ卍には特にこれといった意味はないらしいぞ。」
「ほえー…」
あー、確かにそんなことを誰かに教えてもらった気もする。
うん、教えてもらったな。
頭から抜け落ちたけど。
記憶力が悪いわけではない!
興味が無いことにはとことん海馬が働かないだけである。
十秒前に交わした会話なんて覚えてないことも多々あるからね。
あれ…やっぱ普通に記憶力悪い?
あー!
それどころじゃない、無双するための用意しないと!
意外と平和な世界かもしれないけど、こういう異世界って大概剣と魔法の世界でしょ!
出来ればギャグ世界でお願いします。
シリアスはやだ。
シリアスはブレイクするもの。
ついでに様々なフラグをばっきばきにへし折りたい。
「…なんか変な音しない?」
「そうかー?」
「確かに…こう、ドス、ドスと…」
「なんか足音みたいだねー」
「「「………」」」
あれ、私なんか変なこと言った?
え、なんでそんなに顔色悪いのさ。
おーい。顔の前で手を振ったら流石に反応…してくれた、良かった。
「はっ!外に確認しに行くわよ!」
「え、ちょ、嘘だろ!?」
「爆弾、用意しておきますね」
ん?え?
どゆことぉ?
爆弾→戦闘→魔物。
あぁ、なるほど!
今聞こえてきてる足音が魔物の可能性もあるのか。
……ヤバくね?
いやいやいや、何ナチュラルに確認しに行こうとしてるの?
いや、確かに家の中にいたら逆に危ないのかもしれないけど。
あ、結界…。
破られる、かもしれないよね。
くっそがぁぁああああ!
外に出れば良いんだろ!
結界よ、お願いだからちゃんと仕事してくれ。
体調悪くなる方が死ぬよりマシだから、補強しておこう。
「な、なんで確認しに行こうとしてるんだ?家の中の方が安全じゃ…」
そういえば、この家地下室あったよな。しっかもそっち鉄筋コンクリート並の硬さを持つ何かで出来てるし。
いざとなったら逃げ込める、か?
「ま、待てよ…うぅ」
「怖いなら逃げても良いよ?」
「………」
めっちゃ涙目で首振ってる。
多分これ、正常な判断できてないっぽいな。
仕方ない、ヒロインは…このモブがお守りしましょう!
ほんとは、付いてきて欲しくないんだけど。
だって多分…相手によってはかなりのスプラッタになると思うし。
私は平気。
一度スイッチが入れば問題なし。
…パニックにならないと良いんだけど。
SAN値ピンチ、なんて事態にはならないことを願ってるぞ。
「日和、家の周りに壁が出来て…あら、美優も来たの?大丈夫?」
「あー、先程何かしてましたよね。これですか?」
「Oh,yes!私がやりました。というか何あれ。」
猪?にしては、高さが2メートル近くあるんですけど。
しかも毛並みが緑色っぽいんですけど。
擬態なの?迷彩なの?
あ、毛が長いところはかなり発色の良い緑だ。
他は茶色っぽいことからして、皮膚が茶色で毛が緑とみた。
子供は…いないみたい。
ちょっと見てみたかったんだけど、まあ良いか。
危険な思いまでしてみるくらいなら動物園行くよ。
いやー、それにしても迫力あるわー。
結界に突進阻まれてるけど。
結界張っといて良かったー、ほんとマジで。
でも、これ…向こうはこちらに攻撃できないし、こちらも攻撃しようという意識がない。
膠着状態っすね。
どうしよ、これ。