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本を読むのをやめたらどうなったか。

作者: 安孫子太郎

読書を一時的にやめた結果。




1.言葉が出ない。

表現しようにも言葉が出ない。語彙がどんどんすり減っていく。

元々乏しかった言葉のストックが目に見えて不足していく。これはヤバイ。

日常的に文章を作ることが仕事であれば致命的。

幸いにも文章を書くことなんて、仕事上において皆無に等しいので問題はない。

しかし、ブログ等で文章を書く際にはこれがかなりきつい。

ぱっと的確な言い方を頭に思い浮かべることが出来ない。

なんて書けばいいのだろうと手が止まる。

月に50冊ほど読むことを守っていたころには起きなかった現象だ。



2.ネットの文章じゃ補いきれない。

本を読む代わりにネットで細切れに文章を読むことをするようになった。

ニュースサイト、Twitter、フェイスブック、個人ブログ、書評サイト、などから文章を拾っている。

それらから情報、ネタをいくら集めたところで有益なものが得られない。

1冊の本のうちの10ページにも満たないようなレベルのことしか頭に入らない。残念。

そもそもネット上に転がる文章は断片的な知識でしかないために、文脈から読み取るという作業がし辛い。

情報はピンポイントで集めるものでなく、ひとつの長い文章の中から幾つものソースを組み合わせて、自分の頭に再構築していくことが必要。その作業にネット上の記事だけでは適さない。

自分の頭で考えられる人間になるには本という形式が一番である。


3.世界を見る目の解像度が低下する。

世の中のあらゆることを流して見るようになってしまう。

ひとつの事柄に対して、ああでもないこうでもないと考察をする力が不足してくる。

ぼんやりと過ごしてしまう。

様々なジャンルの本を読んでいたころは、何でもないことから面白いアイデアや見方が浮かんできていた。



4.突拍子もないネタをぶち込むことが出来なくなる。

基本的に本を読む上において、自分の場合は、誰も読まないような本を読むというのが前提にある。なぜかといえば、誰も読まないような本を手にすることで、誰にも語れないような変な知識を集めることが可能だからだ。なんでそんな事を知っているのだと言われるのが楽しいし、だれも知らないような、ネットにもほとんど情報が出回ってないようなことを文章にするのが楽しい。

しかし普通に生きているだけでは、誰でも目にすることのできる情報しか集めることができない。

いくらネットで探し回ろうとも、なかなか奇特なネタは仕入れられない。

また、しっかりとした裏付けも記載せずに、その結論だけがぼんっと置いてある場合が多く、真実かどうか調べる手間が随分と掛かる。



5.想像力が欠乏してくる。

本を読むことは、文字列から頭のなかに映像を浮かび上がらせる作業である。

その作業が想像力を育むのに大きな影響を与えている。

しかし、本を読まないとその体験ができなくなる。結果的に想像力が弱まってくる。

想像力が不足してくると自分の行動に制限が掛かってくる。

他人から用意された通りの道しか選択できなくなる。

自分で新しい歩き方を考えることが難しくなる。

そこに本当は面白い道があるのだが、それが見えなくなるのだ。



締め。

読書をやめてみて思ったのは、現実とはなんと生き辛いんだろうということ。

本を全く読まずに生活出来ている人々ってすごいと思う。

僕は本を読まなければ生きていけない。

読むことによって、どうにか自分の生き方を支えることが出来ている。



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― 新着の感想 ―
[一言] そうですね。 私は一応毎日新聞と何かしらの本は読んでいるのですが、最近はWeb小説とか海外のロマンティックファンタジーとかの軽いものばかり読んでいたので、先日久々に読み返した本格時代小説に四…
[一言] ものの見方と穿ち方そのものだからねえ 我々凡人は頭のいい人を見よう見まねするしかない
2018/07/21 21:30 退会済み
管理
[一言] このエッセイを読んで本は人生は調味料であるように思えました。 人生はお腹は膨れるが調味料がなけりゃ、食えた物じゃない。
感想一覧
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