年賀状(モ)
これは、『モノクロな日々』のこぼれ話です。
ですので、上記の物語の設定を使用しております、ご了承ください。
ストーリーとは一切関係がありません。
※また、季節感をガン無視してます。
2学期終業式、クラスの中でせっせと忙しく動く姿があった。
加奈だ。
俺は、テニス部仲間のダチ達と話している。
だが、それがどうしても気になったので、茜に訊いてみようと、話を途中で切り上げ席を立つ。
しかし、茜に話しかける前に加奈に話しかけられた。
左手には、ノートとシャーペンを持っている。
「翔君ー、ここに住所と郵便番号書いてくりゅっ、……くれる?」
思い切り噛んだようだ。
……もう、茜に訊く必要も無くなった俺は、ノートとペンを受け取り、いいけど、なんでだ?と尋ねた。
「えっと、あれです」
あれと言われても理解しようがない。
「あのー、ハガキです、新年の」
もしかして、年賀状のこと? と言うと、途端に加奈の顔が明るくなった。
「そうです! 年賀状です!」
「加奈ってそういうのはちゃんとするんだな」
意外かと言われれば意外だが、驚愕って訳わけでもない。
ただ、ドジなだけで根は優しいと思う。
とりあえず、俺は住所と郵便番号を書いた。
……なるべく綺麗な字で。
「ありがと!」
嬉しそうに微笑んだ。
「今年は、クラスメイトに出すのか?」
「はい! お母さんに出来るだけたくさん出してって言われたので!」
「……? 何で?」
そんなに加奈のお母さんは年賀状を出したいのだろうか?
「今年、お母さん200枚年賀はがきを買っちゃいまして……」
え……。
「そのうち75枚はお姉ちゃんの写真を印刷しちゃったんです……どアップの」
どうしたらそうなるんだ……。
「あ、なんだったら年賀状そっちにしますか?」
丁重にお断りした。