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見える物、見えない者。

作者: 矢光翼
掲載日:2014/03/07

読んでください

神いう存在は、比較的信じられていない。

それは仕方のないことだ。

本当に神が居るんなら......

神が居るのなら。


こんなことには、ならなかったのに。


++++


事故っていうのは行きなり起こるもんで、そんときの俺は事故なんて、ましてや車なんて思考に含まれていなかった。


青信号。

右左右。

手を挙げて渡ろう。


丁寧だなぁ、なんて思いながら眼前に広がる小学生の束を見ていた。

こう考えると、青信号も信用ならないのかもな。

癖である達観癖でその場を完結させた。

俺も手を挙げようかなんて思ったが、自転車に手を掛けているんだ。挙げられない。

いつもなら乗ったまま渡る横断歩道だが、小学生がいる。模範とならなければ。

......右左右はしなかった。


それがいけなかったのだろうか?

......いや。違う。


俺は普通に道を渡りきって、家へと向かう土手を歩いていた。自転車に乗れない。

小学生と帰り道が同じ方向だ。危ない。

だから俺は小学生の後ろをてくてくと歩いていた。

不審者ではないんですよ。保護者でもないけど。

ただ追い抜くのもなんか嫌だし、かといって空気に混ざるのも苦手だし。

なんか土手の端で車を修理してる人がいるからその人に誘拐されないように、みたいなよくわからない保護の仕方が今の俺にできる最善の空気。

つまるところ、ただ俺は普通の帰り道を普通じゃない帰り方で帰っていただけだった。

数分して、住宅街。小学生の束はまばらになっていた。更に吉報。残りのそれらは俺の帰り道とは別方向を歩いていた。

しめた。サドルにまたがりペダルを踏んだその瞬間。


俺は間違えたんだと思う。


俺の人生は終わった。

つまり......なに?死んだのか?

そう。死んだのだ。あまりにあっけなく。あまりに無様に死んだのだ。覚えている景色など無い。いつのまにか死んだのだから。


もし俺が小学生好きのアブナイ人間だったら。

もし俺が土手で小学生を追い抜いていたら。

もし俺が青信号で手を挙げていたら。

もし俺が小学生に遭遇しなかったら。

もし俺が......もし俺が......


こうなることをわかっていたら。こうならなかったのだろうか?


俺はなんだかムカついてきた。死因が判ったからだ。

車による事故。それだけ。

ちょうど小学生が曲がったから俺以外に被害はなかった。それだけ。

車による事故か......そっか......


絶対、犯人突き止めてやる。


俺は意気揚々と事故った場所にいった。今いる場所がどこだかもわからずに。


++++


うわぁ......きれいさっぱり無くなってるわ......

俺が事故った場所。そこに残っているのは盛大に壊れた塀だけ。

確かここは空き家だったな。

なんて呟きながら塀に触れると面白いことが起こった。


ドカーーーン


目の前で事故が起きた。

何でそんなに冷静かって?冷静なわけあるか人並みに狼狽したぞ。

ひとしきり狼狽してわかったことがある。これは俺の事故だなと。

つまりどう言うことかというと、俺は過去を見たわけだ。

これ......犯人捕まえられるよな?とかこの時点で考えたわけで。

もう一度塀に触れました。


ドカーーーン


土煙。ちょっと待とうよ。今俺急いでるんだよ。

西部劇もビックリの土煙が俺の姿と車のナンバーと運転手の顔を隠していた。

正直ムカついた。


触れることで俺の死の真相がわかることがわかったので、じゃああれだ。俺がここに来る前の俺を再生しよう、と考えたわけだ。

えっと......?確か俺はここでペダルを踏んだ......

地面に触れてみた。


......ドカーーーン


ははーん?今時はナンバー隠すのがトレンドなのかな?

後ろのナンバーは土煙ではなく、なんか白いテープらしきもので隠されていた。

死んでも捕まえる。ぶっ捕まえる。

あ、こんな冗談言えるくらいには自分の死を受け入れられてるわけないだろ。冷静になれよ。

俺は内心半狂乱になりながら土手を歩いた。

ここで俺は自分が不審者ではないことを自分に言い聞かせていたはずだ。

触れてみた......


ワイワイキャイキャイ


さっきと同じ映像か。

数分して聞きなれたドカーーーンが聞こえた。もういらねぇんだけどそのシーン。

と、俺はここである違和感を抱えていることに気づいた。俺は今さっきの状況と明らかに違う点がある。

生き死にじゃない。喧嘩売ってんのか。泣くぞ。

もっと別の......些細ななにか......


車だ。


ここを通ったときの車が消えている。

おっとすごく怪しいな。

俺は車があった場所に触れた。


......するとどうでしょう。

一人の男が車を修理してからナンバーを隠しているではありませんか。


こ  い  つ  か


抱えたことの無い怒り。もう一度地面に触れた。

もう一度現れた男。番号は覚えた。試しに殴ってみたが見事にスカした。


気が収まる前に俺は通報をしようとした。

携帯は運悪く携帯してなかった。

直で通報しよう。


++++


なんだろう。泣きそうだ。

今の俺はわかってはいたが幽霊らしく、どれだけ話しかけても返事が返ってこない。ただの屍かよ。

もういい。霊感強い人とか居ないの?


って思ってあんたを見つけたんだ。俺が見えてるよな?受け付けに向かって呪詛唱えてる俺を笑ったもんな?


俺に協力してもらうぞ。俺は俺を殺した運転手が憎いんだ。さぁ、体を貸せ。

御精読ありがとうございました。

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