ショウ君ともったいないオバケ
ショウ君は、お母さんに叱られています。
ショウ君は、物をあまり大切に使いません。今日もお母さんからもらったおもちゃを壊してしまいました。
お母さんはショウ君に言います。
「物を大切に使わないと、もったいないオバケが出てくるわよ」
お母さんに叱られた次の日のことです。
ショウ君と妹のセツカちゃんは、二人でお絵描きしています。でも、ショウ君は上手に絵を描けません。途中まで描いた紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てました。そして新しい紙にまた絵を描きます。
シクシクシクシク……
しばらくするとショウ君は誰かが泣いている声が聞こえました。でも妹のセツカちゃんは、楽しそうにお絵描きしています。
シクシクシクシク……。
ショウ君はセツカちゃんに泣き声のことを聞いてみましたが、セツカちゃんには泣き声が聞こえません。
気になって泣き声のする方へ行ってみると、ゴミ箱から聞こえます。
「シクシクシクシク……。ショウ君に捨てられたぁ~」
なんと泣いていたのは、さっきショウ君が捨てた紙でした。
「ショウ君」
後ろから声がしたので振り返ると、大きな……大きな紙がしゃべっていました。
「あなたはだあれ?」
ショウ君が聞くと紙が答えます。
「僕は紙のもったいないオバケだよ~。まだ描けるのに紙をすーてーたーなー」
紙のもったいないオバケはそういうと、ショウ君を紙でグルグル巻きにしてしまいました。
「わぁ! たすけて~!」
ショウ君は助けを呼びましたが誰も来てくれません。
「ごめんなさーい! もう紙を無駄遣いしませーん!」
ショウ君がそう謝ると、紙のもったいないオバケはショウ君を外に出してくれました。
ショウ君は、ゴミ箱に捨てた紙を拾うと謝ります。
「ごめんなさい」
「うん、いいよ。最後まで描いてね」
ショウ君と紙は仲直りしました。
テーブルに戻ったショウ君は、紙のしわを元通りにして絵の続きを描きました。
この日からショウ君は、物を大切にするようになりました。もったいないオバケにはもう会いたくないからです。
前は叱られてばかりいたショウ君ですが、物を大切にするようになってからは、お母さんや幼稚園の先生にも「偉いね」 と何度も褒められるようになりました。
みんなも物は大切に使いましょうね。
大切に使わないと、もったいないオバケがやってくるかもしれませんよ。
おしまい。