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根古谷猫屋  作者: 八花月
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004

『これは……』


 自分でも、今が起こっているのかよくわかっていない。ただ、冷静に認識した出来事を再構成してみると……。


 茶色い縞猫と白地に黒い東南アジアの島みたいな模様のついた猫は、不審な、としか言い様ない眼差しで僕をじっと見つめ、やがてぷいっとどこかへ去ってしまった。


 僕は、もう一度じっくり辺りを観察してみた。それこそ猫の子一匹見逃さないように注意して。


 誰もいない。少なくとも人間の姿は見えない。


「もしかして」


 猫の話し声を聞いていた? 危うく突拍子もないことを口走りそうになり、途中から思考のみの言葉に切り替える。


 混乱しながら、ふと昨夜の稲荷でのことが頭の中によみがえった。


『僕自身が見つけられるようにしてください!』


 神様? の声に急かされ思わず願ってしまった、あの言葉。


 あれのせいというかおかげといおうか、で今こうなってしまっているのではないか?


「ど、ど、どうしたらいいんだ!」


 小学生の頃ならいざ知らず、中学生にもなってこんな特異体質になっても全く嬉しくない。


 僕はダッシュで稲荷まで行き、神様に何度も呼びかけてみた。声に出していたので人がいたら変に思われただろうがそれどころではない。


 が、呼べど叫べど神様は出てきてくれなかった。


『この力ってどう使えばいいんだ?』


 神社の石段の最下部に座って小休止しながら、僕は途方に暮れる。


 猫の言葉が分かれば、確かにハルを探しやすいかもしれないが……。


 その辺の猫の話を立ち聞きしながら探し回ればいいんだろうか? それも効率が悪い気がする。


 もしかして、こっちからも話しかけられたりするのか?


 意思の疎通が出来るならそれにこしたことはないのだが、猫語がわかるようになった気もしない。


 ハルで試してみれば……って、あ、そうか。そのハルを探しているのだ。


 頭がこんがらがってくる。


 ただ疲れているだけかもしれないし、今日は猫探しは止めて家でゆっくりしていることにした。

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