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第7話




 それからというもの、特に変わったこともなく。

 ……とはならず、予想外に売れた。


 完全にリピーターと化した人妻が大量に購入していく。

 それに釣られるようにして購入者が日に日に増加した。


 それだけでなく若い駆け出し冒険者風な連中から、そこそこベテラン風の冒険者まで武器類買ってくれた。

 オマケで相場が知りたかっただけで購入した鉄のガントレット等を付けると凄く感謝された。

 まあそれでもこちらはそれなりにプラス収支だ。


 ……ああ、そうそう。

 通販スキルだが、買い取りってのが追加されて不要な素材や装備類を買い取ってポイント化してくれる機能が追加された。

 更に手持ちのお金をそのままポイント化することにも成功したので、益々良いものを安く買って売りさばくことが出来るようになった。

 チートスキル最高だね。

 なので価値を理解していない相手から格安で仕入れてポイント化することも出来る。

 おかげで販売だけじゃなく買い取りも出来て商売の幅が広がりそう。


 そんな中、ある日面白い客がやってきた。


「こちらに石鹸があると伺ったのですが?」


 豪華な馬車が目の前にやってきたかと思えば美人なメイドが現れた。

 そして今まで販売していなかった石鹸の話が出てきたので驚いた。

 どうやらモングさんから聞いたらしく、とある方が非常に気に入ったとのこと。


「ですので、それなりに数を販売して頂ければと」


 そう言って頭を下げるメイド。

 ぶっちゃけ厄介事どころの騒ぎじゃない。


 おっかしいなぁ。

 こうならないように販売を絞ったはずなのに、まさかの初手ミスがこうなるとは。

 外から見てれば「俺なんかやっちゃいました?」って主人公に対して「考えれば解るだろクソか」って思ってたが、実際は大変なのかもしれない。

 なんて現実逃避をしながら商品を準備すると言って明日もう一度来てもらうようにした。

 

「面倒事にならなきゃ良いなぁ~」


 ……と思った時期が私にもありました。


 ああ、本当に面倒だった。

 心の底からそう思う。


 まず朝一に既に待っていたメイドさんに例の石鹸を30個を金貨30枚で売った。

 ついでに更に高級品の石鹸を10個金貨50枚で売り付けた。

 これに関してはどうしたものかなぁ。

 いっそ思い切って販売するのもアリかもしれない。


 そして次にあのオッサンが仲間を連れて現れた。

 斧を手にした時は仲間から貴重な武器だと声が上がった。

 オッサンは金貨130枚用意していたらしく、130枚渡そうとしてきた。

 当然こちらは100枚で良いというのだが「本来ならもっと渡したかったほどだ」と譲らない。

 なので宝石が埋まったガントレットを取り出して渡した。


「これはパワーガントレットと呼ばれる迷宮産の装備です。130枚だというならぜひこれも持って行ってもらいたい」


 ■パワーガントレット

  装備するだけで力の限界値が上がる装備。

  重い武器も軽々と持てるようになる。


 *付与特性:力+10


 平均価格:金貨50枚~80枚


「……このような装備を!」


 試しにと装備して貰えばその効果が解る。

 俺でも自分と同じサイズの岩を動かせるぐらいの怪力になったのだ。

 冒険者ならその価値が理解出来るだろう。

 もちろんこれも相場が知りたくて購入したもの。

 通販スキルの欠点だと思うが、こういう時に効率よく処分するのが一流の商人ってものさ(ドヤァ)


 ぜひとも持って行って欲しいと言って渡せば、オッサンが凄く良い顔になる。


「この恩は忘れない」


 そう言って仲間と去っていくオッサンはカッコ良かった。

 きっと1ヶ月ぐらいは忘れないと思う。


 まあこのせいで一気にお金が増えた。

 通販レベルも3に上昇し、購入出来る幅がまた増えた。

 チラホラと家電が出てきたが電気の無いこの世界でどうしろと。


 そんな感じで順調だったのはここまでだった。


「おい、お前」


 そんなトゲのある声から始まった。


「何でしょう」


「お前が持っている石鹸や貴重な装備品を献上せよ」


 ……こいつは何を言ってるんだ?


「デラデ子爵様直々のお言葉だぞ!さっさと返事をせよ!」


「……献上せよと言われても、もう持っておりませんが?」


「嘘を吐くな!王家の馬車が購入しに来たのは知っておるのだぞ!」


「いえ、そもそも王家かどうかは知りませんが女性用の品を持っているだけ買うと言われて売ったのは事実です。しかし石鹸は知りませんね」


「ええいっ!調べはついておると言っているだろう!!王都で噂の素晴らしき石鹸!!それを王家が人を出して購入しようとしているというのは誰もが知ることぞ!!」


 いや、そんなこと言われても。


「それに珍しい武具もつい先日、冒険者の方が購入されましたのでありません」


「ならばそれらを再度仕入れて献上せよ!……ついでにその仕入先も教えろ!これからは私が直々に取り仕切ってやるわ!!」


 ああ、もうめんどくさいな。

 こういうのに絡まれないようにしようと思ってたんだが、初手の石鹸がケチ付け放題過ぎる。


「では、相手側への連絡など色々と準備がありますので明日にもう一度来て頂ければと」


「ふん!最初からそう言えば良いのだ!」


 そう言って高笑いしながら馬車で去っていった。

 それを確認してからスグに店を畳む。

 そして冒険者ギルドに駆け込んで受付に緊急の護衛依頼を出したいと言って張り紙に条件を記載する。


 ギルドにある大雑把な地図から山の近くを通って隣の国に行く道を確認。


*護衛依頼『緊急』


 本日夜に出発。

 行先、ガーナック王国:エーアイ街まで

 予定10日間 1日につき金貨3枚

 依頼ランク Bランク以上(ギルド信頼印あり)



 いきなり今日出発ということもあり平均相場と言われる1日金貨1枚というのの3倍出させてもらう。

 その分、腕に自信がありそうなBランク以上とし、更にギルドが「このパーティーならギルドが保証しますよ」という印が入ったギルドカードを持つパーティー限定とした。

 これが無い連中が全て素行が悪いとは言わないが、無しの連中を雇用して万が一置き去りにされたりしても困るからだ。

 そういう意味ではギルドが保証するという担保分のお金は惜しまない。


 依頼を出してスグにギルド協会に向かうがサルザードさんには出会えなかったので、街を出るということとその事情を書いた紙を職員に渡しておいた。

 ついでに商業ギルドのギルド長が誰かは知らないけどギルド長当てに同じ内容の手紙を職員に預けた。

 そして宿も引き払う話をしながら最後の食事を愉しむ。


「あなたが依頼主のシンさんでしょうか?」


 ふと声をかけられて振り向くと、そこには場違いなほど雰囲気のある女性が立っていた。


「―――えっと、アナタは?」


「申し遅れました。私は『乙女の旗』のリーダーを務めておりますリシアと申します」


 ……イマイチ状況が理解出来ないと顔に出ていたのだろう。


「ギルドで緊急の護衛依頼を出されてましたよね? エーアイ街までの」


「……ああ、その件ですか」


「それを私達『乙女の旗』が受けようかと思いまして」


「なるほど」


 リシアさんはギルドカードをこちらに見えるように差し出す。

 Aランクチームであることとギルド印もある。


「こちらとしては、あの条件で良ければ問題ありません。ランクも印も確認しましたので」


「ちなみにですが1つ質問よろしいですか?」


「ええ、どうぞ」


「何故、本日夜に出発を?明日の朝でもよろしいですのに」


「ああ、その件ですか」


 そこから俺は端的に説明をした。

 ここで商売をしていると王都に住む商売人と付き合いが出来たこと。

 そこで王都でも売れるだろう品を色々とお世話になった礼としてあげたこと。

 すると今度はそれが王都で色々あったらしく貴族が直接購入に来たこと。

 何とかって貴族に目を付けられて商品や販路すべてを献上しろと言われたこと。


「―――という訳で、連中に目を付けられた以上はこの国で商売は難しいでしょう。なので隣国に行って再出発しようかなと」


「そういうことでしたか。……相変わらずここの貴族どもは」


「ん?何か言いました?」


「いえ、何でもありませんわ、オホホホホ」


 何やら誤魔化された感じがしなくもないが、話の流れからどうやら依頼を受けてくれるみたいだ。

 どちらかと言えば遠回りするだけで、比較的マシな道を通る護衛で1日金貨3枚はおいしいらしい。

 スグに仲間であろう人達が現れた。

 どうやら近くで様子見をしていたようだ。

 まあそうだろうね。

 彼女1人なんて危ないだろうし。



 *リーダーのリシアさん。

  金色の長い髪と白い装備が良く似合う美人さん。

  貴族令嬢だと言われても信じられるぐらいだ。


  主に剣と盾を使った騎士のような戦い方らしい。



 *エレナさん

  黒髪ショートでスタイル抜群の美女。

  服装も肌色率が高く、目のやり場に困る。

  盗賊系らしく斥候など偵察が主体だろうな。


  主にナイフを使った接近戦。

  あと小さなショートボウという弓矢も持っていて遠距離支援もするそうな。



 *ルルさん

  茶髪でウェーブのかかったゆるふわ系な感じの美女。

  ちょっとお姉さん系な感じもするが、本人は甘えるのが好きなのか、よく誰かに絡んでいる。


  槍を使うらしく、使い込んだ槍を持っている。



 *ジュリアさん

  見るからに魔法使いといった感じのフード付きのローブを身に着けた人だ。

  あまり顔を見せるのが得意ではないらしいが、可愛い系な人だ。


  攻撃魔法が得意なようで後方支援に徹しているらしい。



 *パメラさん

  ポニーテールが特徴的な活発系の可愛い子だ。

  他に比べて年下っぽくJC~JKぐらいな見た目だろう。


  支援や回復魔法が得意らしく、貴重なヒーラーらしい。



 以上5人が護衛についてくれることになった。

 女性だけのパーティーだが、この世界の事情を考えれば仕方がないらしい。

 冒険者なんて何があるか解らないし、常に命をチップに賭け事をしているようなもの。

 中には同じ冒険者を罠にハメて全てを奪ったり、女性だからと無理難題を押し付けたり。

 荒々しい男ばかりの中に若い女性なんて何をされるか解ったものじゃない。


 そう言ったこともあり、女性冒険者は同じ女性とパーティーを組んだり、同じ故郷の幼馴染など信頼出来る人間同士で組むことが多い。

 彼女達『乙女の旗』もそう。

 色々あって女性だけのパーティーを作ったそうだ。


 そして依頼者にも舐められないように依頼も慎重に選ぶらしい。

 今回はお金が良かったこと、緊急依頼の必要性というか正当性に俺がちょっかいを出すような人間に見えなかった等で受けることにしたようだ。

 ……まあ女性に縁が無い人生ではあったし、精神年齢的にはジジイを経験してるからなぁ。

 でも何だか体が若いからなのか、精神年齢が引っ張られてるなと感じることもある。

 実際、エレナさんのビキニにショートパンツみたいな姿は目に毒だ。

 あんなの見せられて周囲の男どもに我慢しろというのは、それはそれでどうなのだろうかと思わなくもない。

 身軽が良いにしても、もう少し肌の露出をだなぁ………


 などと考えつつも準備を整える。

 そして夜になるとそのまま街を出発した。





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[一言] 第三者としてなら考えれば分かるだろ、と言えても実践できないのはリアル
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