第2話
まるでラノベのお手本のような森の中をひたすら歩く。
一応使い方が解った通販スキルを起動して色々見ながらではあるが。
「やっぱ少ないなぁ」
売っているものが明らかに少ない。
しかも数の制限があるものまである。
通販スキルレベル1
全てはこれが原因だろう。
何をすれば上がるのかわからんが、これが上がれば取り扱いが増えるらしい。
そしてもう1つ困るものがある。
異世界通販スキルレベル1
こちらは、この世界でのアイテムなどが購入出来るものらしい。
といってもまだこちらのことがさっぱりなので使い道に困る。
とりあえず初期ボーナスとして100万円分のポイントが貰えているので、そこから万能ナイフを1本購入して腰につける。
一応、鉄の剣とかも買えるが買った所で武芸などしたことがない俺が持っても意味がない。
異世界だというのならそういったスキルの1つでも持って置けば良かったかな?なんて思いながら進んでいると―――
―――ッ!!!
向こうの方から騒がしい声が聞こえてくる。
「これはアレか?定番のやつか?」
モンスターに襲われる女の子を助ける的なアレ。
しかし自分は強くない。
だが見捨てると言う選択肢は流石にない。
なので一応様子見をするために近づく。
「あー、そっち」
明らかに馬車を襲う盗賊という図である。
盗賊っぽいのは剣とか弓とか持ってるのが見える限りで10人ほど。
対して若い男が1人倒れていて、残りは剣を構えた若い男と女の2人と杖を構えた女が1人。
あとは馬車に隠れている商人っぽいオッサンだ。
完全に分が悪い。
しかし武芸も何も無いし、通販に銃が売ってない俺ではどうすることも出来ない。
―――――――
―――――
―――
「ああーもうー!!」
ここで見捨てるという選択肢が取れない俺は、きっと馬鹿なんだろう。
通販スキルを開いて使えそうなものを大量に買い込む。
まだポイントの獲得手段が解っていない状態で大量に使用するなど馬鹿がやることだ。
でも見捨てられない以上は、やるしかない。
■side:冒険者タリサ
正直言って絶望的な状況だった。
盗賊と言っても相手は10人でこちらはダンがやられて3人。
この辺りは治安が比較的良く、護衛の任務も楽勝だと思っていた。
「いいか!女はなるべく傷つけるなよぉ!」
下卑た笑みを浮かべつつ返事をする連中に嫌悪感が沸く。
万が一にでもお前らに襲われるぐらいなら舌を噛み切って死んでやる。
そう思っていた時だった。
「ギャー――!!!」
背後から叫び声がして誰もがそちらを振りむく。
すると背後に居た3人の盗賊達が全員顔を両手で抑えながら苦しんで倒れていた。
そして。
見たことが無い丸い兜に顔を覆い尽くす面のようなものを装備している。
身体には黒い鎧のようなものを装備していて両手には小さな盾のようなものを装着していた。
更に両手に何かアイテムをを持っており、それを振り回しながらこちらに向かってきた。
………正直言うと凄く怖い。
一瞬、敵か味方かどっちだよと思ったが、盗賊を倒しているのを見ると味方なのだろう。
弓を持った盗賊から矢を撃たれて胸に当たるも矢が刺さらずにその場に落ちる。
「いってぇなぁ~!!!」
そう言うと乱入してきた男は腰に付けていたアイテムを投げる。
すると周囲に煙が噴き出し、盗賊達は叫び声をあげながら倒れていく。
更に追い打ちをかけるように棒のようなものを取り出すと
「スタンバトンだ!食らえ!」
そう言って棒の先端を相手に突き刺すようにぶつけると、盗賊は叫び声をあげて気絶した。
正直、何がなんだかわからない。
だけどただ1つ解ったことは、自分達は助かったのだという事実。
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