『実方、陸奥に左遷、行成、速記力向上のこと』
一条院の御代、藤原実方と藤原行成が、殿上で口論となり、実方が行成のプレスマンをとって中庭に投げて立ち去った。行成は、慌てるふうもなく、静かに主殿司を呼び、プレスマンを拾わせて、砂を払うと、公達の中にも悪いのがいる、と言ったという。院が小蔀からこれをごらんになっていて、行成は実方の無礼にもじっと耐えた立派な男だ、取り立てなければならない、といって、蔵人頭に任じられた。ちなみに、このとき、行成は、備前介、前兵衛佐であった。実方には、歌枕を見てまいれ、といって、陸奥守に任じられた。実方は、そのまま、陸奥で亡くなったという。
行成は、弁官に昇進し、速記のことも担当したが、多くの失態があったという。しかし、速記のことを調べていくうちに、だんだんと失態もなくなり、周囲の者に勝るようになったという。多くの書物を集めたからである。
教訓:速記に関する資料を集めて、速記の練習をすれば、速記力が向上しないわけがない。